水路部研究報告 第38号, March, 2002
[ 前号 ← ] [ ↑ 一覧 ] [ → 次号 ]
目次
巻頭挨拶
, p.1
特集記事
-
水路技術に関する展望
, p.3
An Overview on the Recent Research and Development for Hydrographic Works.
-
電子海図の作製とその取り組み
, p.19
Electronic Navigational Chart (ENC) Production of Japan and Its Correspondence.
-
漂流予測手法の高度化に関する研究
, p.43
Progress in Trajectory Prediction of Drifting Matter.
-
海底地殻変動観測を目指した音響技術開発
, p.47
Challenges to Observe Sea Bottom Crustal Deformations with Acoustic Ranging Technique.
原著論文
-
函館湾の海底断層
, p.59
The Submarine Faults in Hakodate Bay.
-
2000年伊豆諸島の群発地震による地殻変動を説明するソースモデル
, p.71
A Source Model to Explain Crustal Deformations by Earthquake Swarm around Izu-shoto in 2000.
-
大阪湾の同時潮図について−コリオリ力の影響−
, p.85
Improved Co-tidal Charts around Osaka Bay, Seto Inland Sea.− Influence of Coriolis force on the tidal distribution -
研究ノート
-
海底火山「福徳岡ノ場」における海底地震観測
, p.101
Ocean Bottom Seismographic Observation at Fukutoku-okanoba Submarine Volcano.
[ 前号 ← ] [ ↑ 一覧 ] [ → 次号 ]
函館湾の海底断層
函館湾西岸付近の海底に長さ1〜3kmの4条の断層を見出した.いずれも,概ね南北走向で西側隆起の逆断層であり,南北方向に雁行配列をしている.断層分布及び変形の特徴から,これらの海底断層は,従来より存在が予想された函館平野西縁断層帯の海域延長部と考えられ,同断層帯は海域に10km以上延長されることとなった.海底断層の最新活動時期は完新世である可能性がある.
2000年伊豆諸島の群発地震による地殻変動を説明するソースモデル
伊豆諸島と南関東におけるGPS観測データのインバージョン解析を行い,2000年6月末以降の三宅島の火山活動とそれに伴う伊豆諸島の群発地震による地殻変動を説明するソースモデルの推定を行った.観測点の少なさや配置の偏りから,モデルを一意的に決定することは困難であるが,開口割れ目に加えて地震に伴う横ずれ断層を加えることで観測結果を良く説明できた.推定の結果,三宅島−神津島間ではダイクの貫入により,北東−南西方向に7〜8mの開口があったと考えられる.また,この推定されたモデルは2001年6月に実施した局所的な神津島のGPS稠密観測による結果とも非常に調和的で,モデルが有意であることが示された.
大阪湾の同時潮図について−コリオリ力の影響−(英文)
潮流観測データに運動方程式を適用して潮汐振動特性を論じると共に同時潮図を精密に描きなおした.その結果,M2振動の最小振幅の位置が淡路島北端側に偏っていることなどがわかった.この海域の潮汐分布には,コリオリ力の影響がかなり効いている.また,小倉(1933)が初めて論じた明石海峡のM4分潮の発生についても,潮流観測データに基づき定量的に論じた.
海底火山「福徳岡ノ場」における海底地震観測
現在でもしばしば変色水が観測されている活動的な海底火山である福徳岡ノ場において海底地震観測および人工震源としてエアガンを用いた上部地殻構造探査を実施した.地殻構造探査では,大容量エアガンを人工震源として用いたにもかかわらず初動の到達距離はかなり小さいことから,福徳岡ノ場の周辺部,凹状の地形の内部の海面下1.5-2km以深に低速物質が存在することが示唆される.また自然地震観測結果から,福徳岡ノ場近傍における観測期間の地震活動度は低く,複数のOBSで観測されるS-P時間10秒程度の地震はマリアナ海嶺と小笠原海嶺の会合部域で発生していることがわかった.一方,火山地域でよく観測される,単一周波数(約7-14Hz)の減衰波形を示す,単独のOBSでのみ検知される微小な振動がいくつものOBSで観測された.