海の水はなぜ塩辛い?

 

 Q:海の水は、なぜ塩辛いのですか?、昔から海の水は塩辛いの?、世界中どこでも、塩辛さは同じですか?

 

 A:海水浴や磯遊びなどで、誰でも一度や二度は海水を飲み込んだ経験があると思います。そのときの海水の塩辛さに、思わず吐き出して唾をペッペッと出したことがあるでしょう。

 海水には、塩素イオンやナトリウムイオンをはじめとして、天然にある92の元素の全てが溶け込んでおり、これが塩辛さの原因となっています。 

 *大昔の海水は酸っぱかった*

 地球が誕生した今から約45億年まえの海水は酸っぱい味だったのだそうです。地球の誕生当時は、地球自体から吹き出した多量のガスの中には水素、水蒸気、塩素が含まれていました。そして、地球の温度が下がりだすと空中にさまよっていた水蒸気は水となり、地上に雨となって降りそそぎ、地下に浸透した水は温泉のようにお湯となって地上に吹き出してきました。その繰り返しを何千年も続けている間に海ができたそうです。地球内部から吹き出た塩素ガスは水に溶けやすく、雨と一緒になって海に溶け込み塩酸となり、強い酸性を示すようになり、酸っぱい味になったのです。塩酸の海は、長い年月を経て、海中の岩石の中の鉄やカルシウムなどを溶かし込み、徐々に海の水は酸性から中性に変化して現在のような海になりました。

 *海水の成分*

 19世紀の後半、イギリスの軍艦チャレンジャー号により、世界各地の海水が採取され、エジンバラ大学に送られてきました、同大学のディットマー教授は当時としては最高の化学技術を使って、海水中の主要な8成分を分析しました。その結果、濃度は海水のサンプル毎に変わっているが、濃度比すなわち組成は著しく一定であることを発見したのです。海水中の物質の濃度は、海の表面での水の蒸発や降水、河川水の流入、北極海や南極海での氷の生成や融解などによって変化するだけであるといえます。

 塩辛さの度合いを塩分と呼んでおり、海洋学では塩分は海水1圓△燭蠅僕呂韻討い詈質のグラム数で表します。外洋の海水1圓砲鰐鵤械毅腓諒質が溶けており、塩分35‰(パーミル)と呼びます。

  海水中の主要成分の濃度(塩分35‰の海水)

イ オ ン g/ イ オ ン g/
塩素イオン 19.353 カルシウムイオン 0.413
ナトリウムイオン 10.766 カリウムイオン 0.403
硫酸イオン 2.708 炭酸イオン 0.142
マグネシウムイオン 1.293 臭素イオン 0.0674
 

 上記表に示すように、塩素イオンは約19gであり、主要8成分だけで塩分の99%以上を占めています。塩分の組成が一定していることから、簡単に測定できる海水中の塩素イオンの濃度(塩素量)を銀滴定によって測定すれば、塩分が推定されます。この方法では、塩素量の約1.8倍が塩分となります。ただし、現在では、塩素量の測定に代わりに海水の電気伝導度を測定し、簡単で迅速に塩分の推定が行われており、これを「実用塩分」と言っています。それに伴い、昔の測定法で使われていた「パーミル」は現在使われていません。

  *世界の海の塩分*

 大西洋、太平洋、インド洋の海表面の平均塩分は下表のとおりです。

  表面塩分の平均(‰)

区    域 大西洋 太平洋 インド洋
0 70N 35.45 34.17 35.38
0 60S 35.31 35.03 34.84

 北太平洋は特に塩分が低く、北大西洋は特に塩分が高いという特徴があります。この原因は次のよに説明されます。

 大西洋の貿易風は、暖かい湿った空気をパナマ地峡を越えて太平洋に運んで、北太平洋に雨を降らせ塩分を下げます。水蒸気の源は大西洋ですから、大西洋の塩分は高くなります。北太平洋の偏西風ももちろん水蒸気を含んでいますが、北アメリカ大陸の西側山地で雨となり再び太平洋に戻されます。大西洋の東側のヨーロッパ大陸やアフリカ大陸には、アメリカ西側山地に相当する大山脈が海岸近くを南北に走ってないため、大西洋からの水蒸気は分散してしまって、大西洋に戻ってこないのです。

引用文献:技報堂出版「海のはなし供