波って恐ろしい!

  穏やかだと思える海でも、突然に予期せぬ大きな波が襲ってくることがあります。また、複数の方向の波が存在する海域では大型船舶さえも転覆させるほどの尖った波が起こることがありますので、磯や砂浜で遊ぶとき、また、船舶航行時には、常に波に対する注意を払うことが大切です。

波の高さについて

波の高さとは、個々の波の頂上から谷までの高さの差のことで、風が強いほど、長く吹き続けるほど、また、風の吹く距離が長いほど高くなります。
波の高さの説明図
しかし、実際の波の高さは常に一定ではなく、高い波や低い波が混在していますので、天気予報等で使われる波の高さは、下記の定義によります。

○天気予報等で使れる波の高さについて

  ある地点で連続する波を観測し、波の高さの高いほうから順に全体の3分の1の個数の波(例えば20分間で100個の波が観測されれば、大きい方の33個の波)を選び、これらの波の高さの平均(有義波高といいます)を求めると、熟練した観測者が目視による波の高さを観測した値とほぼ一致することから、天気予報等で使う波の高さは、この有義波高のことを指します。
有義波高についての説明図

○たまに襲いかかる思わぬ高さの波について

 実際の海面では、この有義波高より高い波も低い波も混在しています。
 つまり、波の高さとは、一番高い波でも、一番低い波でも、単なる平均の波で もないわけですから、波の高さは、これより大きな値を持つこともあり、確率的 には、100回に1回は約1.6倍の高さの波が、1000回に1回は2倍近い 高さの波がやって来ることがあります。
 たとえば、波高2mで波長が10秒の波であれば、約17分間に1回の割合で 波高3.2mの波が、2時間40分に1回の割合で4mの波がやってくる可能性 があり、別名『一発波』とも呼ばれています。
 そのため、その時々の波の様子を見て「ここまでは波はこないだろう」と油断 をし、岩場に座り込んだり、また、浜辺で波に背を向けることは非常に危険です。
 また、これは確率論ですので「さっき大波が来たのでしばらく大丈夫」という わけではありませんので、常に注意を払うことがとても大切です。

○進行方向の異なる波がぶつかって起こる峯の尖った波について

 進行方向の異なる波がぶつかったときにできる峯の尖った波のことを三角波と いいます。沖合いの進行する波(進行波)の場合は、120度より尖ることはな く、それ以上になると砕けます。しかし、進行方向の異なる波がぶつかると互い の波が合成され、進行波から定常波(波が進行せずにその場にとまって振動して いるように見える波)となり、その波は90度まで尖ることがあります。
 そのため、大型船舶をも横転させてしまうほどの波形勾配の大きな波に成長す ることがあります。
 特に、風向きの複雑な台風の中などでは、規模の大きな典型的な三角波が立ち ますので非常に危険です。 




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