1．東京湾の水環境の現状

　東京湾は、後背地に大きな人口集積を有する閉鎖性海域であるため、湾内に流入する窒素・りん等による富栄養化が進行し、赤潮や青潮等の発生がみられ、生息生物に悪影響を及ぼしています。汚濁負荷量を発生源別にみると、生活系の汚濁負荷量が7割近くを占め、COD（化学的酸素要求量）の環境基準達成率は、昭和61年度からほぼ横ばい状態となっています。その他、干潟・浅場などの埋立により自然浄化機能が減少していることや、漂着ゴミ問題などが水環境の回復しない要因となっています。

　2．東京湾再生に向けての目標等

（1）東京湾再生の目標

　生態系を回復し、多くの生物が棲みやすい水環境となるよう、環境の保全・再生・創造を図り、自然と共生した首都圏にふさわしい東京湾を目指すため、次の目標を設定しました。

　この目標の達成状況を判断するため、底層のDO（溶存酸素量）を指標とし、具体的な目標を「年間を通して底生生物が生息できる限度」としました。

（2）重点エリア及びアピールポイント

　東京湾の中で、特に重点的に再生を目指す海域として重点エリアを定めるとともに、その中の市民が身近に施策の効果を体感・実施できるような場所7箇所をアピールポイントと設定し、それぞれの場所においての改善後のイメージや指標、目安を示しました。

（3）計画期間

　平成15年度から10年間。

　3．目標達成のための施策の推進

（1）陸域負荷削減策の推進

○

陸域からの汚濁負荷削減のために、総量削減計画の着実な実施を図りながら、各事業施策を効果的に実施。

○

汚水処理施設の整備普及を図るとともに、富栄養化防止のための高度処理導入を促進。

○

雨天時における流出負荷の削減

○

河川浄化施設等の有機汚濁負荷対策、湿地や河口干潟の再生に伴う栄養塩の削減

○

面源負荷の削減を図るため、間伐の実施、複層林の造成等を実施。貯留、浸透施設の設置等により雨水の流出を抑制し、汚濁負荷を削減。

○

浮遊ゴミ等の回収については、市民活動の取組を促進。

（2）海域における環境改善対策の促進

○

海域の汚濁負荷の削減

・

有機底泥の除去(汚泥浚渫）、良質な土砂を用いた浅場等の造成を効果的に推進。

・

約20隻の清掃船等により、海面を漂う浮遊ゴミ等の全面的な回収を目指し、効率的な回収を図るとともに、赤潮回収技術の開発や回収の実施を検討。

・

NPOや漁業者等による海底ゴミの回収や、海浜・干潟の清掃活動を推進。

○

海域の浄化能力の向上

・

干潟・浅場・海浜・磯場を保全・再生・創造するとともに、長期的な観点から相互ネットワーク化を図る。

・

生物付着を促進する港湾構造物等、生物に配慮した構造物の整備を推進。

・

青潮の発生原因のひとつとされている、過去の土砂採取等による深堀跡を埋め戻す。

（3）東京湾のモニタリング

○

モニタリングの充実

・

底層のDO及び底生生物についてのモニタリングの充実を図る。

・

モニタリングポストや船舶等により海潮流及び水質のモニタリングを強化する。

・

人工衛星により、赤潮等の挙動をリアルタイムで把握する。

○

モニタリングデータの共有化及び発信

・

関連情報を集約したWEBサイトを整備し、相互間のリンクを図る。

○

市民のモニタリング活動

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地域住民と協同して、海浜清掃及び漂着ゴミ分類調査を実施する。

・

「海守」をはじめ、東京湾で環境保全活動を行うNPOとの連携を強化する。

　4．その他

（1）実験的な取り組み

お台場における都の水質浄化実験

定期フェリーによるモニタリング

海洋短波レーダーによる観測

海外との交流の検討

（2）行動計画策定跡のフォローアップ等

　行動計画の進捗状況についてフォローアップを行い、取組状況を的確に把握し、その着実な実施に努めるとともに、必要に応じ、本行動計画を見直すこととする。

　重点エリア及びアピールポイント