ダウンカレントに注意しましょう!

 海には、定常的に流れる海流を始めとして、潮汐の干満に伴う潮流や海岸で発生する海浜流など様々な原因により流れが発生します。
 これらの流れが岩礁などの浅瀬に作用すると、岩礁の外縁から深い海底に向かう沈み込む流れが発生する場合があります。この沈み込む流れがダウンカレントです。


1 桃頭島周辺の海底地形

  • 外洋に面している桃頭島東部から南部の海底地形は、浅瀬から海底に向かって急激に沈み込んでいます。(瀬から距離40mで約30mの沈み込み)
  • ダウンカレントは、このような岩礁域などの急深な海底地形で発生すると考えられます。
  • 桃頭島周辺の海底地形
測量(水深)データを基に表現した桃頭島南部の海底地形鳥瞰図・海底地形断面図(A〜B)
※アゴ島南東部の瀬(A)から急激に沈み込んでいる地形が分かります。


2 ダウンカレントの発生要因

  • ダウンカレントの発生メカニズムとしては、2つの要因が考えられます。ダイバーの泳ぐ速さは、速い人でも1ノット(0.5m/s)程度ですから0.5ノット以上の流れは危険を伴います。
  • 調査期間中A付近では、最大0.35ノット(0.18m/s)のダウンカレントが観測されました。

(1)流れが瀬を乗り越えるタイプ
  • 流れが瀬を乗り越えるタイプ
  • 潮流域では、このような流れが転流を伴い、周期的に発生します。特に瀬の上でのドリフトダイビング(流れに身を任す)では、上層では流され漂流する恐れがあり、下層ではそのままダウンカレントに引き込まれる危険性があります。

(2)暖水塊に冷水塊がぶつかるタイプ
  • 暖水塊に冷水塊がぶつかるタイプ
  • このタイプの発生頻度は、(1)より多くはありませんが、瀬の周辺に温かい海水と冷たい海水がぶつかった時に発生する潮目や渦を認めた場合は、注意を要します。


3 岩礁域に近づく前に

  • 最寄の関係機関への問い合わせ等、事故発生例の有無や地形の情報を事前に入手してください。
  • 突然発生することがありますので、常にガイドやバディの位置関係に留意し、単独行動にならないようにしましょう。
  • ダイビングする場合はガイドの注意を良く聞き、流れの強いときは急斜面でのアプローチを避けましょう。


4 ダウンカレントに遭遇したら

  • エアー残圧に余裕がある場合は、落ち着いて近くの岩場につかまり、流れが弱まるのをまちましょう。
  • エアー残圧に余裕がない場合は、BCジャケットの活用やウエイトを捨てることにより浮力を確保し、脱出に努めましょう。
  • 救助が必要なときは、海の緊急通報118へ電話しましょう。

Buoyancy Compensator BC(Buoyancy Compensator)
浮力調整装置:水中での浮力をコントロールできるスキューバダイビングの機材で、本体の空気袋と身体に装着するためのハーネス、空気を送り込むための吸気弁、内部の空気を排出するための排気弁からなります。通常は空気タンクを固定するためのハーネスと一体となっています。空気袋を背中側に設けたバックフロートタイプ、胸側に設けたホースカラータイプ、前後に設けたジャケットタイプ、ベストタイプなどがあります。