農・漁業についての言い伝え

@ イカが大漁の時は他の魚は不良   (千賀)

A ごろ助〔ふくろう〕が夜半に鳴くと鰹が大漁   (渡鹿野)

B 寒に真西風(マニシ)が吹かない時は漁がない   (三木浦)

C 片寒あいたら鯔(ボラ)は上る   (今一色)
 藤堂の桜が満開は大山鯔の上り時   (今一色)
    - 冬の間、外海へ出ていた鯔が大寒(1月21日)になると湾内に回遊して来ることである。
      また、桜が満開の次期は上り鯔の盛期である。

D 下手(ヘタ)の大糸 上手の小糸   (今一色)
    - 網を直す時の話である。

E 梅雨はよもぎの根に舟をもやえ   (今一色・渡鹿野)
    - 梅雨期は大風が吹かないという意味である。

F しん鍋の魚が逃げ出す   (神前浦)
    - 東風が吹くときは、水温の低下により魚が釣れないという意味である。
     煮鍋の魚でも逃げてしまうほどであるという例え話。

G 潮時知らずのしおさい河豚(フグ)   (神前浦)
    - 河豚は海岸の近くを遊泳しているが、潮時を知らないので干潮になると沖へ行くのを忘れて
     干上がって死ぬものもいる。常に潮の干満時間を考慮して出漁せよという戒めである。

H 雪は豊年のしるし   (的矢)
 

  海産物についての言い伝え

@ 春先のモドキは食うな   (今一色)
    - 昔は宮川河口に大量のモドキ〔モズク〕がはえていたが、春は河豚がそれに産卵するので
     モズクを採らないようにという戒めである。

A 夏貝は猫も食わん   (今一色)
    - 昔は夏のアサリで食中毒をおこすことがあったのであろうか、今は夏でも潮干狩りが盛んである。

B 夏の海鼠は(ナマコ)は食うな   (今一色)
    - 夏は海鼠の産卵期にあたるので採ってはいけないという意味である。

C 魚を炊く時は三度煮上がったらよし   (今一色)
    - 魚は煮すぎると旨くないという意味である。

D つえの子は食うな 河豚の肝は 石なご に切って水で煮よ 河豚の干物はあたらない   (今一色)
    - つえの子(黒鯛の卵)は食中毒を起こしやすい。また、河豚の肝は火がとおりにくいので
     細かく切ってから煮た方が良い。干物は太陽の紫外線で解毒されているので安全である 。