(1) 風、雲に関係するもの
@ 春の西風 雨が近い (早田)
A 春の西風 秋の東風 要注意 (錦)
B 朝北北西(ナライ) 夕南西(マゼ) (贄浦・渡鹿野・飯浜)
- 春、天気が良い日のことである。
C ダシ〔山から海へ吹く風〕が吹いたら天気良し (引本)
D 尾鷲が暗くなると風 (御座)
- 春季のことである。
E 春は西側に雲が一の時に引くと西風が強くなる (三木浦)
F 雲はかん立ち 明日も照りや (二木島)
- 夏、西方の山に入道雲が立つと晴天で暑い日が続く。
G 辰巳〔南東〕の風に油断するな (須賀利)
H 朝から吹いている南風は油断するな (錦)
I 東が曇れば雨とやら 西が曇れば風とやら (相賀浦)
J 南西方向に黒い厚雲が現れると雨が強い (早田)
K 藤坂〔南島町北側の山地 高さ約600m〕に雲が出ると大風になる (贄浦・神前浦)
L 大江〔南島町東部地区〕の奥 暗くなると大雨になる (贄浦)
M 西北西に鱗雲 当一日は風の心配なし (長島町)
N 北東(ナライ)の風が吹けば明日は雨 (大曽根)
O かぎ雲が西の方から現れると晴天となり風が強い (早田)
P 南風が吹いている時は北の空に雲がかかり 東風が吹いている時は
那智山〔和歌山県東牟婁郡 最高峰は烏帽子山 909m〕方向に雲がかかる (錦)
Q 秋 大台ヶ原〔奈良・三重県境にある高原状の山 高さ約1,700m〕に雲がなく
晴れたら油断するな 東風が強く吹く (島勝)
R 大蛇峰〔熊野市 標高687m〕の山頂に黒い雲がかかると西風が強く吹く (新鹿浦)
- 1月から2月ごろのことである。
S 西風(マニシ)の夕凪 (迫間浦)
- 西風の日は、朝夕凪だが日中は風が強い。
21 沖〔東方に当たる〕厚雲の土手ができると雨が近い (早田)
(2) 雨に関係するもの
@ 春の雨なぎ (二木浦)
- 春、無風状態で海面が光るように美しくなると雨が近い。
A 五月の梅雨は東風が吹く (三木浦)
B 朝曇は晴れ 夕曇は雨 (須賀利)
C 卯の刻〔午前4時〕 降り始める雨は短時間で止む (早田)
D 南風(マゼ)後の雨 東風(イナサ)の底抜け (贄浦)
- 南風及び東風の日は大雨になることがある。
E 寒(カン)の雨 下が湿ると大波となる (贄浦)
〃 冬、雨が降って地面が湿ると波立ちがする (奈屋浦)
F 寒に雨が三粒降れば 三升波が立つ (御座)
- 1月ごろのことである。
(3) 朝焼け、夕焼けなどに関係するもの
@ 卵黄は凪 真珠は風 (甫母)
- 日の出の時、太陽が卵黄のように見えたら凪になり、真珠のように見えたら風が強くなる。
A 女形(オヤマ)に子無し 出月に雨なし (贄浦)
〃 出月に雨なし (長島町)
- 月が出る時間帯は雨が降ることが少ない。
B 冬 月夜の風は夜吹けば昼吹く (贄浦)
錦地区での風の呼称
東の風…こち風、いなさ
西の風…まにし、土佐吹き
南の風…まぜ、やまぜ
北の風…たかの風、山出し、しぶ北
(4) 台風に関係するもの
@ 沖に波立ち (二木島)
- 夏、太平洋に入道雲が立つのは台風が来る前兆で吾ある。
(5) 雪に関係するもの
@ 赤子の洗濯 (奈屋浦)
- 雪が降って積もれば翌日は凪である。
A 雪が積もって二、三日後には雪払いの風が吹く (奈屋浦)
(6) 潮汐に関係するもの
@ 七日八日の朝よさ〔夕方〕 そこり〔干潮〕 (迫間浦)
- 旧暦の7日と8日の朝夕は干潮である。
A 満潮(上げ潮時)に南の風が吹いて来た時は避難せよ (錦)
(7) 食物に関係するもの
@ 若布(ワカメ) 昆布などの干物の表面が変色すると雨が近い (早田)
(8) 動物に関係するもの
@ 春 南風が吹く時は鶯がよく鳴く (三木浦)
A 燕が低く飛ぶ時は雨 (早田・相賀浦)
B 夕トンビに笠をぬげ (甫母)
〃 朝トンビに河渡りするな 夕トンビに傘持つな (二木島・奈屋浦・早田・相賀浦)
〃 夕トンビに江戸船を仕立てよ (御座)
-
朝方、鳶が鳴くと雨が降り、夕方鳴くと晴天になる。伊勢湾口の地方でもよく言われている。
C 雲雀の鳴き声がかん高く聞こえる時は晴天 (早田)
D 秋 南風が吹く時は雉が鳴く (三木浦)
D 船虫が上がる年は暴風がある (須賀利)
(9) その他
@ 夕方 虹が鮮やかに見える時は晴天 (早田)
A 秋の空が晴れわたると海は荒れる (大曽根)
B 霜がおりると日中暖かくなる (迫間浦)
C 川煙り〔霧〕 立つ日は天気良し (引本・神前浦)
- 冬季によく言われている。
D 冬は凪の時は海からゆげがあがる (三木浦)