平成16年5月27日
第五管区海上保安本部


6月8日に金星が太陽面を横切る「日面経過」が見られます

 日本各地で、6月8日の午後に金星が太陽面を背景に横切っていく現象が見られます。
 今回、日本では午後2時11分頃に太陽に接触・進入開始し、太陽面から離れる前の19時頃に日没を迎えることになります。

神戸における現象時刻

金星日面経過のイメージ

 このとき、太陽面に映る金星の大きさは太陽の直径の約33分の1で、 真っ黒な円形をしています

     日面経過時の位置関係



 この現象が日本で見られるのは130年振りで、前回は1874年(明治7年)12月9日に起こりましたが、世界中でも1882年 以来という大変珍しい現象です。
 次回、日本で「金星の日面経過」が見られるのは2012年6月6日で、この時には進入から離脱までの「全経過」も見られますが、その次に見られるのは、105年後の2117年12月11日になります。
 なお、「日面経過」の観測は日食のときと同様、太陽を見ることになるので、直接目で見ることは絶対に避けてください。(サングラス使用も危険)
 また、天体望遠鏡や双眼鏡を使用する場合は、特に注意が必要なため専門家の指導を受けて観測を行うようにして下さい。

 1874年の「金星の日面経過」観測は、現代に比べて観測機器等が未発達な時代であったため、地球と太陽の距離を求めるのにたいへん有意義なものでした。この時、日本では「全経過」が見られるなど観測条件が良かったため、神戸、長崎、横浜にフランス、アメリカ、メキシコが観測隊を派遣する一大イベントとなり「科学の黒船」とも呼ばれています。
 我が国周辺の海図整備に着手していた明治政府も、海軍省水路寮(海上保安庁海洋情報部の前身)がこの観測を行うとともに、各国の観測隊に全面的な支援・協力を行いました。さらに、観測技術の習得のため若手技術者を各国観測隊に同行させ、日本の天体観測技術や測地測量技術の向上に努めました。
 また、このときに来日した欧米の観測隊らの協力よって、ヨーロッパまでの経度差電信観測※がなされ、これが基礎となって、地球上における日本の位置(経度)が確定していったのです。
 なお、神戸ではフランスの観測隊が現在の中央区諏訪山で観測を行い、これを由来とした「金星台」と呼ばれる広場は市民の憩いの場所となっています。

諏訪山公園内の金星台 記念碑


 経度を決定するには正確な時計が必要です。極めて正確な時計のなかったこの時期には、電信を用いて各地の時計を合わせて天体観測を行い経度(差)を決定したのです。
【参考】

 海上保安庁では、船舶が天体の位置を観測して地球上の位置を知る天文航法に必要な「天測暦」を刊行しています。
 このため当庁では金星の日面経過などの天文現象も計算しています。