平成23年 11月 24日
                                       第五管区海上保安本部

        南海トラフにおける地殻変動観測について
               (室戸岬沖に新海底基準点を設置)

  海上保安庁では、これまで地殻変動観測の空白域であった海底の動きを直接観測
するために、海底地殻変動観測を行っており、三陸から室戸岬沖にかけての太平洋側
沖合いに海底の動きを測定するための海底基準点を設置しています。
  今般、観測体制強化のために室戸岬沖に新たな海底基準点を設置します。

  海上保安庁では平成12年から海底地殻変動観測を行っており、日本海溝や南海トラフ海底の
動きを調べています。今般、南海トラフにおける観測体制強化のため、11月下旬、室戸岬沖約90
キロメートル(水深約1,800メートル)の海底に新たな海底基準点を測量船「拓洋」を使って設置し
ます。

 当庁が行う観測は、プレート間の固着や蓄積した歪の具合を推定し海溝型地震の予測等に役
立てるとともに、地震に伴う地殻変動を観測しメカニズムの解明に必要なデータを提供することが、
主な目的であり、観測で得られた結果は、地震調査委員会や地震予知連絡会などに提出され、
地震・防災の総合的な評価を行うための重要なデータとなっています。

 最近の大きな成果としては、3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震後の3月28、29日に
量船「明洋」
で行った東北太平洋沖海底基準点の観測から得られたデータを解析した結果、震源
のほぼ真上に位置する宮城県沖の海底基準点が、地震前と比べて東南東に約24m移動、約3m
隆起したことが確認されたことなどがあげられます。
 この成果は、米国の学術誌の一つであるサイエンスに掲載されました。