平成 24年 7月27日
                                              第五管区海上保安本部

           夏休み、海の行楽に気をつけて
        (~ 一発波や離岸流に注意! ~)

 
  毎年、7月下旬~8月は、夏休みを利用して、遠方まで出かけ、家族で海水浴や魚釣り
といったマリンレジャーを楽しむことが盛んになります。
  海には、色々な危険が存在しており、特に、外洋に面した海岸では、「一発波」や「離
岸流に注意して下さい。

1  一発波と離岸流ってなに? (~ 内海では見かけない海の表情 ~)
   (1) 一発波・・穏やかな海で遊んでいたら突然の巨大波に襲われた。
     外洋に面した海岸では、一見、穏やかそうな海でも、波の高さは一定ではありません。
    100 回に1回は1.5 倍の、1000 回に1回は2倍の高さの波が押し寄せると言われていま
    す。これは、特異な現象ではなく、海では普通のことです。また、太平洋に面した海岸で
    は、はるか沖合いに台風が発生している場合は、それだけ巨大波出現の危険性も増す
    ことになりますので、濡れている場所には近づかないなど十分な注意が必要です。

   (2) 離岸流・・遊泳中に沖への強い流れに流された。
      海水は、波によって沖から海岸に打ち寄せられ周囲
    との水位差を生じた場合、沖へ戻る流れを形成します。
    これを離岸流といいます。離岸流は地形などの条件に
    よって、オリンピック選手でもその流れに逆らって泳ぐ
    ことは難しいほどの秒速2メートルを超える強い流れに
    なることもあります。
      離岸流が発生している海域では、遊泳中に急に沖
    に流されてしまう場合があります。
    こんな時に慌てて海岸に泳ぎ戻ろうとするのはかえっ
    て危険です。
     強い離岸流は流れの幅は狭いことが多いので、まず
    海岸に平行に泳ぎ、いち早く離岸流の流れから脱して
    から海岸に戻るといった落ち着いた対応が必要です。

離岸流リーフレット。クリックするとPDFファイルが開きます。





2  こんな事故が起こっています
   (1) 家族旅行中の事故
      子供たちが夏休みとなるこの時期は、帰省や家族旅行のシーズンです。
      知識があれば、防げた可能性がある水際の事故。一発波と離岸流に注意してください。

      ① 波打際で楽しく遊んでいた家族を襲った一発波
        高知県の観光名所桂浜
        《磯遊び中1 名死亡
         ・ 平成23年8月3日、愛知県在住の4人家族が
         桂浜を訪れ、波打ち際で遊んでいたところに一
         発波。
         4歳の男の子が波にさらわれ沖に流された。
        《磯遊び中1 名死亡
         ・ 平成23年8月27日、愛知県在住の4人家族
         が桂浜を訪れ、母親と4歳の男の子が波打ち際
         で遊んでいたところに一発波。男の子が波にさ
         らわれ、行方不明となった。

捜索に向かう海保潜水士
救助中の海上保安官等

      ② 海水浴を楽しむ家族を襲った離岸流
        日本海側海水浴場
        《遊泳中1名死亡
        ・ 平成23年8月11日、日本海側海水浴場に京都府在住の旅行者が大人1 名と子
        供4 名により遊泳中、子供2 名が沖に流され始め、1 名を救助中にもう1 名が行方
        不明となった。

   (2) 磯釣り中の事故
      今年1月から6月末日までに管内で発生した釣り中の事故者数は17人で、事故内容
     別に見ると、海中転落が最も多く9人(52.9%)で、この内5人が死亡しておりますが、
     救命胴衣を着用していた事故者は、僅か2人(22.2%)でした。
      これら海中転落による死亡事故は、救命胴衣の着用により生還できたと思われるもの
     が多く見受けられます。
     磯釣り中の海中転落の原因は、突然の高波(一発波)にさらわれる事案が多く見受け
     られます。

      ① 生死を分けた今年の事例
        ≪事故者1名:生存(着用)
        平成24 年4 月23 日 磯場で魚釣りを行って
        いたが、一発波をかぶり、海中転落。

        ≪事故者1名:死亡(未着用)
        平成24 年7 月1 日 2 名で磯釣りを行って
       いたが、一発波をかぶり、1 名が海中転落。


      ② 同じ一発波にさらわれた2 人の釣り客の生死
        ≪事故者2名:生存(着用)死亡(未着用)
         平成23 年6 月25 日 磯波が高くなったため、
        釣りを止めようと片付けをしていたところ、一発
        波をかぶり、2名が海中転落。





3 旅行中、釣り中の事故について
   管内の状況
     平成23 年に発生した管内で発生したマリンレジャーに伴う海浜事故95 人の内、釣り中の
    事故が39 人(41.0%)、遊泳中の事故が21 人(22.1%)であり、釣り中と遊泳中の事故が全
    体の6割以上を占めています。
     また、発生場所及び事故者の居住について統計をとったところ、遠方に釣りや海水浴に出
    かけた時の事故が多く発生している状況が窺えます。

府県別発生状況 (マリンレジャーに伴う海浜事故 平成23 年)
府県別発生状況 (マリンレジャーに伴う海浜事故 平成23 年)
事故者の住居別発生状況 (マリンレジャーに伴う海浜事故 平成23 年)
事故者の住居別発生状況 (マリンレジャーに伴う海浜事故 平成23 年)
和歌山県で発生した事故者の住居(マリンレジャーに伴う海浜事故 平成23 年)
和歌山県で発生した事故者の住居(マリンレジャーに伴う海浜事故 平成23 年)