Q:航海用海図に使われている紙が、兵庫県と深く関係していたと聞きました。 どのように関係していたのか教えてください。

A:航海用海図に使われている用紙について簡単にご紹介いたします。

兵庫県にまつわる海図用紙の話

海図用紙は、大正4年(1915年)までケント紙と鳳凰紙が使用されていましたが、ケント紙はイギリス製のため有事のときには供給不能となることが考えられ、鳳凰紙は紙質が弱く大量生産も不可能という欠点があったことから、当時の海軍水路部(海上保安庁海洋情報部の前身)は、兵庫県高砂町の合資会社三菱製紙所高砂工場(現在の三菱製紙株式会社高砂工場)に、新しい海図用紙の試作納入を命じました。そして、同大正4年からケント紙・鳳凰紙にかわり、「高砂紙」と名づけられたこの用紙が新たに海図用紙として採用されることとなり、高砂工場は日本で唯一海図用紙を製造する会社となりました。

その後、海図用紙の製造業者として特種製紙株式会社の参加が認められる昭和31年(1965年)12月までの41年間にわたり、この「高砂紙」のみが海図用紙として使われ続けました。さらに時が過ぎた14年後の昭和45年(1970年)、三菱製紙株式会社に代わり紀州製紙が海図用紙の製造を行うこととなったことを機に、三菱製紙株式会社高砂工場は55年間にわたり携わってきた海図用紙の製造にピリオドを打ちました。

海図用紙の特性

航海用海図に使用する用紙は、

  • 精度維持のため、用紙の伸縮が極力少ないこと
  • 湿度、温度の変化が激しい船上で使用しても強度が落ちないこと
  • 針路・船位等の鉛筆記入、消去を繰り返しても紙面がケバ立たないこと
  • 水路通報により海図を補正する際、手記訂正用のインキがにじまないこと
  • 折りたたみに耐え、また、折り目が切れにくいこと
  • 図載内容の鮮明さを保持するため白色度・不透明度・不変色であること

といった特性を備えるために特別に抄造した紙を使用しています。