Q:世界で一番深い海の深さは?

世界で一番深い海はどこにありますか?また、深さは何メートルあるんでしょうか。

世界で一番深い場所がマリアナ海溝にあることを発見した海軍水路部(海上保安庁海洋情報部の前身)

マリアナ海溝の調査は20世紀に入ってはじめられましたが、日本の測量艦「満州」 が、1925年10月3日にマリアナ海溝中の北緯11度13.8分・東経142度 9.3分の位置で、9,814.6mを観測しました。 その時の測量方法は、海底まで下ろしたピアノ線の長さにより水深を測るという方法でした。  なお、この観測で得られた水深は当時の世界最深水深でした。

世界最深部を発見した海洋調査船

イギリスの海洋調査船「チャレンジャー8世号」が、1951年6月にマリアナ海 溝において、火薬の爆発による可聴音波を利用した地震探深を行っていたところ、同月14日に北緯11度21分・東経142度15分の位置で10,863.2mを観測、その日の夕方、先端に140ポンド(約64 kg)の錘を付けたピアノ線を海底 まで下ろす方法で再度測量を行い、爆発音による音響測深の結果が正しいことを確認 しました。 このマリアナ海溝の中にある世界の海の最深部は、この深みを発見した英国の海洋 調査船チャレンジャー8世号にちなんで、チャレンジャー海淵と呼ばれています。

初めて国際的に認定された水深

ロシアの「ビチャージ号」が、1957年8月に同海域において、船から発射した音波が海底から反射して戻ってくるまでの時間を人間が手動で測定して求める音響測深(周波数10kHz)という方法により11,034mを観測しました。 これが国際的に公認された水深となり、海図や地図帳に記載されるようになりまし たが、ビチャージ号による測定は人間が手動で測定して求めたものであったこと、及 び、その後の調査で同程度の深度が測定されなかったことから、その値に疑義がもたれていました。しかし、科学的にこれに代わるべき測定値が得られなかったことから、長い間変更されませんでした。

世界最深部の水深改訂のきっかけとなった測量船拓洋による測深

海上保安庁海洋情報部の測量船「拓洋」(1983年8月就役)が、西太平洋海域共同調査(WESTPAC)の一環で毎年冬季に実施している海洋観測にあわせて、疑義がもたれていたチャレンジャー海淵をナローマルチビーム測深機という音響測深機により測量を行 い、1984年2月、同海淵の東部・西部・中部の3カ所に次の水深を観測しました。

             
場所緯度経度最深部の深さ
チャレンジャー海淵東部北緯11度22.7分東経142度35.3分10,924m
チャレンジャー海淵中部北緯11度21.9分東経142度26.5分10,901m
チャレンジャー海淵西部北緯142度12.6分東経142度35.3分10,909m

世界の海の最深部の決着

1993年5月にアメリカで開催されたGEBCO(※)の第14回合同指導者委員 会において、アメリカの「トーマス・ワシントン号」(スクリップス海洋研究所所属) が1980年に測定した10,915mの測量成果と日本の「拓洋」(海上保安庁海 洋情報部所属)が1984年に測定した10,924mの測量成果について討議され た結果、両船の測定値及びその誤差を総合的に考慮し、チャレンジャー海淵の水深値 が10,920±10mと確定されました。 その後、この値に基づき、各国の海図や理科年表などで世界の最深水深が改訂されました。

※GEBCO(GEneral Bathymetric Chart of the Oceans) 全世界をカバーする海底地形図を作成するために国際水路機関(IHO)及びユネスコ政府間海洋学委員会(IOC)が共同で推進する国際プロジェクト    

海図W1号抜粋