Q:海上保安庁で航空図も作製していると聞いたのですが。

A:海上保安庁が船舶でなく航空機の運航のための「航空図」を作製していることについて、少々不思議に思われるかもしれません。どうして海上保安庁でも刊行しているのか、その経緯について簡単にご紹介します。

刊行の経緯

明治36年(1903年)にライト兄弟が初飛行を成し遂げ、我が国の上空でも航空機が飛行するようになり、大正3年(1914年)に海上保安庁海洋情報部の前身である海軍水路部が、航空図「横須賀至東京」を試作しました。そして、水路部では陸・海軍や民間で使用するために昭和11年度末までに52版の航空図を作成しました。その後、第二次世界大戦での敗戦を経て、陸・海軍の解体やGHQによるの民間航空全面禁止により、日本国政府による航空図作成は消滅しました。

昭和25年6月国内航空路の開設や同27年3月の航空管制権返還をGHQにより認められると、航空機運航のための航空図誌が必要となってきたため、当時の航空保安庁(現国土交通省航空局)等の関係者により過去の実績等を考慮し、海上保安庁水路部で航空図の作成を再開することとし、同28年2月に「TOKYO」を刊行しました。

現在では、国際航空図(1/100万)12版、航空路図(1/100万)4 版を刊行しています。

航空図の概要

国際航空図

海上保安庁刊行の航空図は、前述のとおり2種類が刊行されています。

国際航空図
図郭線や図番号はICAO(国際民間航空機関)の標準仕様に基づく縮尺1/100万の航空図で、ランベルト正角円錐図法を用いて作成されています。
航空路図
基本的には国際航空図の仕様に準じて作成しているものの、国内実情に併せて図式体裁を変更しているものです。図法はランベルト正角円錐図法を用いています。航空路図は日本の地形に沿った民間航空路にあわせて斜めに区域を設定(斜置式)し縮尺1/100万、4図で日本全土をカバーするように作成されています。

ランベルト正角円錐図法について

北極点(もしくは南極点)を頂点とする扇形の地図。緯線は極を中心とする同心円状、経線は極から放射状に描かれていて、地図上の全ての点において緯線と経線の長さの比が地球上(球面)における値と等しくなるように、緯線の間隔が調整されています。そのため、角度及び形が正しく表されています。 特に中緯度において歪みが小さく、航空図や天気図などに広く用いられています。