Q:海面がラグビーボールの様な形になるのはどうして?

A:

平衡海面

図1-3:平衡海面

では、前項図1-1の様なラグビーボール状の海面になる訳を見て行きます。 簡単にするために、地球が一様な海水で覆われていて大陸・島嶼は存在しない、また、 海底と海水の摩擦をゼロとします。 さらに、地球の自転を無視し月と地球の公転だけ(太陽も無視します)を考えます。


共通重心を中心に円運動

図2-1:共通重心を中心に円運動

さて、全てのものが互いに引き合う力を持っていると言う法則(万有引力の法則)a) によって、地球と月もお互いに引き合っています。 そして、月と地球は万有引力によってお互いの共通重心の周りを円運動(公転)をすることになります(図2-1)。

なお、月-地球系の場合、共通重心 (G) は地球半径の約0.72倍b)(地球内部にある)のところに存在しています。


この時、地球上の運動を見てみましょう。

今は地球の公転のみを考えていますので、その運動は大きさと回転速度は同じですが、 中心は異なる円運動をしていることになります(図2-3) (共通重心 (G) が回転の中心となり、地球の中心点 (Gc) 、 月に最も近い点 (Gn)  、 月から最も遠い点 (Gf)  及び適当に取った点 (Ga) の円の大きさと動きは全て同じになっています)。

地球の各点(1)

図2-2:地球の各点

地球の各点(2)

図2-3:地球の各点(2)


この時、向心力(共通重心に向かう力)は何処でも同じ向き同じ大きさなので、遠心力 (Fr) も同じ向き同じ大きさ になります(図2-4)。

遠心力の分布

図2-4:遠心力 (Fr) の分布


1 2 3

【補足】

図2-5

図2-5

a) 万有引力の法則の力の大きさは質量に比例し、距離の2乗に反比例します。 質量 \( M \) の物体と質量 \( m \) の物体が距離 \( r \)だけ離れている時、2つの物体の間に働 く力の大きさ \( F \) は、\( F =G \frac{Mm}{r^2} \) と表されます( \( G \) は万有引力定数と呼ばれ、\( G = 6.67428\times 10^{-11} m^3 kg^{-1}s^{-2} \) という値をとります)。

月の質量を\( M_m \)、地球の質量を\( M_e \)、月の中心と地球の中心との平均距離を\( d \)、 また月と地球の中心に関する向心加速度\(a_m\)、\( a_e \)をとすると、 \[ M_m a_m = G \frac{M_m M_e}{d^2} \\ M_e a_e = G \frac{M_m M_e}{d^2} \tag{2-1} \]


また、月と地球の中心を結ぶ直線の角速度を\( \omega \)で表し、共通重心から月、地球それぞれ迄の 距離を\(d_m\)、\( d_e \)をとすると、向心加速度は次のように表せます。 \[ M_m a_m = M_m \omega^2 d_m \\ M_e a_e = M_e \omega^2 d_e \tag{2-2} \]

b) 共通重心とは、系全体の重さの中心で、仮にヤジロベエの両腕に地球と月を下げた時、このヤジロベエを 支えられる支点となる場所の事です。共通重心は、以下により求まります。

(2-1),(2-2)式より \[ M_m \omega^2 d_m = M_e \omega^2 d_e \\ i.e) \ d_e = \frac{M_m}{M_e} d_m \tag{2-3} \]

\( d = d_m + d_e \)なので、これを(2-3)式に代入し変形すると、 \[ d_e = \frac{M_m}{M_m + M_e} d \] これに、月の質量\( M_m \)、地球の質量\( M_e \)及び平均距離\( d \)の値を代入すると、 de = 4,650kmとなり地球中心から平均半径の約0.72倍のところに位置することが分かります。