海上保安庁海洋情報部では、相模湾周辺や伊豆諸島周辺等の海域で、GPSにより地殻変動の監視観測を実施しています。
2002年6月に実施した神津島島内のGPSによる観測結果を、過去5回実施した観測結果と比較したものが(図1)と(図2)です。
前回の観測(2001年6月)では、2000年6月からの三宅島火山活動に伴う非常に大きな地殻変動が検出されましたが、今回の観測結果では、変動量はほぼ以前のレベルに戻っています。しかしながら水平成分についてさらに詳しく見ると、島の中央部から北部では従来の方向へ戻っているように見えるものの、島の南部では前回のベクトル方向への変動が継続しており、三宅島活動の影響が完全には収まっていないことを示しています。
2002年6月から10月にかけて実施した伊豆諸島の島嶼・岩礁におけるGPS観測結果を、前年の観測結果(2001年7月から10月)と比較したものが(図3)と(図4)です。
- (詳細):
- 図3は、海上保安庁下里水路観測所を基点とし解析した各点の変動速度ベクトルを1年あたりに換算したベクトルに、同基点のユーラシアプレートに対する相対速度ベクトル (注)で補正しものを示した。
- 図4は同基点を基準とした上下成分の変動を示した。
- (注):
- 海上保安庁下里水路観測所のユーラシアプレートに対する速度ベクトル
- (291°、32mm/yr:Sengoku(1998))
ユーラシアプレートに対する各点の水平成分の変動を見ると、西から北西方へ3〜5cm程度となっており、大局的には、三宅島火山活動の余効変動が残っていた前回の結果から、この地域従来の変動傾向へと戻ってることが分かりました。 また、上下成分では、前回観測された大きな隆起傾向から若干の沈降傾向へと転じています。