先輩からのメッセージ (交通部) 平成29年度版
○H29入庁(1年目) | 技術部門 | 「安全かつ効率的な海上交通実現にむけて」 | |
○H26入庁(4年目) | 技術部門 | 「海の安全に貢献する」 | |
○H14入庁(16年目) | 出向中 | 「出向者から見た海上保安庁、そして10年後の未来」 |
![]() |
職員採用のホームページをご覧いただきありがとうございます。公務員試験を受験する際、また採用後の行程の参考になればと、採用1年目、勤務歴3ヶ月目の小職ですが、入庁にいたるまで、入庁後の新規職員研修、現在の業務、について書かせていただきます。
○入庁にいたるまで
私は大学・大学院時代は建築学、特に建築の歴史学を専攻しておりました。就職活動をするにあたって、世間でよくあるように大学での専攻知識を活かしながらも、幅広い職務にも携わりたいと考えてしまいましたが、茨の道でした。残念なことに建築史学の知見が直接活かせ、かつ新卒採用している仕事は多くは存在していないのです。そんな就職活動中に、海上保安庁では明治期・大正期に建てられた灯台の保存業務を行っていることを知り、海上保安庁を志望しました。ご縁があって内定をいただいた次第です。今でも、将来は灯台の保守・整備や、歴史の長い灯台の保存・観光振興業務に携わりたいと考えております。
官庁訪問後は10月1日に内定面談が行われ、書面上でも内定が決定します。その後、海上保安庁からは4ヶ月ほど連絡がありません。内定は夢だったのかと不安になるかもしれませんが、あまり気にかけず、論文・研究・趣味など好きに時間を使って過ごしてください。中には余暇を活かして電波・通信技術系の資格に挑戦する先輩職員もおりました。
2月の下旬ごろから3月上旬にかけて配属部署の連絡や、必要書類の提出依頼がありました。できる限り〆切までの提出を心がけます。
4月には入庁式があり、海上保安庁長官から直々に辞令をいただき入庁いたします。入庁式の前にお辞儀(敬礼)や辞令の受け取り方など1時間ほどレクチャーをうけたことが、後々他省庁と比較して独特だったと分かりました。
○入庁後の新規職員研修
入庁後には新規職員研修があります。省庁によって受ける研修は異なりますが、海上保安庁での採用職員は人事院主催の研修(以下人事院研修)と国土交通省主催の研修(以下国交省研修)に連続して参加します。
人事院研修では、他省庁の総合職・特別職採用の職員以外に省庁外の機関採用の職員も参加します。東京都代々木にて2泊3日の期間で開催され、平成29年度は入庁後3日目から行われました。グループワークや講演会を通して、国家公務員の職務とはなにか?について改めて考えられる場を提供されると共に、他省庁との職員と交流出来ます。それぞれ目標や志をもって公務員を志望した先輩職員や同期の方と話すことで、仕事への熱意がさらに強まりました。
国交省研修は、東京都小平市の国土交通大学校で開催されました。この研修では国交省現役職員の講演・講義を通して国土交通省の業務について学ぶと共に、グループワークも行われ、政策の企画・立案を実践的に学びました。また講義では、著名人を招いた講演や、国土交通省関連の現場見学も開催されました。研修期間が2週間と長いので、自由時間には懇親会も複数回行われ、人事院研修以上に和気藹々とした雰囲気での研修でした。
両研修で知り合った同期職員達とは、今でも連絡を取り合い、時にはご飯を一緒に食べる仲になりました。
○現在の業務
現在、私は交通部航行安全課に所属しております。海上保安庁交通部の任務は「船舶交通の安全確保」と「運航効率の増進」です。航行安全課はその中でも、海の交通ルールとも言うべき、海上交通三法(海上衝突予防法、海上交通安全法、港則法の3点です)の所管・運用をおこなう業務や、一定の大きさ以上の船が航路※)内を通過するときに交通管制をおこなう施設である船舶通信信号所に関する業務などを担当しております。これらの業務や交通部内の他課の業務が達成・継続されることで、日本の貿易事業の生命線と言える外航海運や環境負荷の少ない輸送手段である内航海運で活躍するタンカー・貨物船、国内外の観光客の移動手段である旅客船、漁船・プレジャーボートなど大小様々の船舶が、さらに安心かつ円滑に海上を運航することができます。
私は、配属部署で、政策・予算面からこれらの業務に取り組んでおりますが、総合職採用では1年目で技術部門に配属になり、機器の整備などに携わることもあります。過去、現在の最新技術に触れ、そして未来の技術を導入し、また、それらが実際にモノとして役立っていることを実感できる。とても面白い職場だと思います。
○おわりに
最後になりましたが、この文章を読んでくださった工学、数理科学・物理・地球科学区分での国家公務員試験受験者の方へ、海上保安庁に少しでも興味を抱いた方は、ぜひ海上保安庁へいらしてください。楽しい先輩職員ともども皆さんの訪問をお待ちしております。
※船の出入りが激しい、座礁しやすいなど、事故が発生しやすい特定の条件の海域において、港に出入りする船が通ることを定められた通路
![]() |
私は現在、海上保安庁の仕事を支える船艇を取り扱う部署で船艇に搭載している機器の設計に関する仕事をしています。将来の就職先を考えている皆様に、私の経験を元にした、海上保安庁での業務やその魅力について少しばかりではありますがご紹介します。
○様々な業務
海上保安庁に入庁してから4年目ですが、この間に様々な業務を担当させていただきました。船舶が安全に航行するために必要な航路標識の整備、東京湾の新たな管制を実現するための法律改正、海上交通に関する国際会議の運営、船艇に搭載する機器の設計etc… 一見関連のないように思える仕事をやってきているかのようにも見えますが、共通して言えることは、技術的な観点から安全に関わってきたということです。1つ政策を実現するにしても様々な技術・幅広い知見が必要になります。皆さんの中には、自分の専攻してきた分野が、海上保安庁では生かされるかどうか不安な人もいるかもしれませんが、ご安心ください。海上保安庁は海に関する幅広い業務を行うことから、様々な専門性を持った人を求めています。灯台に設置する機器について考える場合には、機械の知識、船舶からの排出ガスについて考える場合には、化学の知識、船舶への情報提供について考える場合には通信の知識。海上交通に関する分野だけでも多くの知識が必要であり、皆さんの持つ能力は海上保安庁でいかんなく発揮されることになるでしょう。また、様々な業務を経験することで自分の専門分野、強みを増やすこともできます。
○現場とのつながり
「公務員」というと、パソコンの前で仕事をするイメージを持つ人がいるかもしれません。そのような仕事もありますが、海上保安庁では、全国各地に「現場」を持っており、実際に現場に赴いて作業をするということも多々あります。実際に現場に赴いて実物を見て、船舶を運航する乗組員の皆さんや機器を製造するメーカの方などと意見を交換することによって、データでは表すことのできない「感覚」をプラスすることができます。また、自分が取り組んだ業務が目に見える形で現れる。これは「海」という現場を持つ海上保安庁ならではの魅力ではないかと思います。構想を練るスタートの段階から、現場で運用され、新たなものに換装される、一つのプロセスに立ち会うことができます。
○最後に
私が入庁してからの4年間でも、仮想的な航路標識、東京湾の一元的な管制といった様々な新しい機器やシステムの構想が生み出され、現場に導入されています。また、私自身も入庁前は予想もしていないような仕事を経験しています。様々な業務の中で、時には大変な思いをすることもあるかとは思いますが、スケールの大きい仕事を担当し、それを達成する喜びは何にも変えがたいものがあります。
「海の安全に貢献する」海上保安庁では大いなる志を持ち、様々な視点から貢献できる皆さんをお待ちしています。
![]() |
今回紹介するのは、交通部技術系の出向例の一つです。
採用されると、このような分野にも出向できるんだと軽い感じでお読みください。
私は今年度から、海上保安庁から総務省に出向し、衛星関係の無線局の許認可、技術基準を担当しています。衛星業界は、最近めまぐるしく動いている分野です。
技術の発展によって静止衛星の通信を高速大容量化できるようになってきたり、衛星の小型化により打ち上げ費用の低廉化が図られ、衛星を数百から数千基、低軌道周回軌道に打ち上げ、低遅延、高速大容量化の通信網を作る動きが出てきたり、レーダーやカメラで地球観測するビジネスが出てきたりと主なものだけでも、盛りだくさんです。
唐突ですが、皆さんは15年前に、15年後の通信環境がどのようになるか想像したことがあるでしょうか。私が入庁したときは、携帯電話でどこでも電話できて、メールもできて便利だなと思っていました。ただ通信料が高い、速度が遅いと思って、画像を送ることは意識して行っていませんでした。携帯で動画を見ることも馴染みがない時代でした。いまやスマホでどこでも画像を送ったり、動画を見たりなど無意識で普通に行ってしまいます。これがあと10年後にはどのようになっているでしょうか。スマホで衛星電話できるのが普通の時代が来るかもしれません。また、リアルタイムで衛星画像が見られる時代が来るかもしれません。
このように10年後どうなっているかを考えることは政策立案、技術発展の上で重要です。たいがい10年後の予想は外れますが、それは現在考えられていない新しい技術などによるブレークスルーのおかげです。予想が当たるか外れるかは問題ではなく、適時に新しい技術に対応していけばいいわけです。
技術革新が目覚ましい衛星通信分野に携わっている総務省出向の身から海上保安庁を見ても、技術革新を積極的に取り入れているところだなと改めて思います。例えば、灯台の電源を太陽電池化するということは現在では当たり前ですが、1950年代導入当時は様々な問題があり、導入するにはなかなか難しいものでした。それをいち早く導入を決断し、海上という過酷な環境で問題解決を行ってきたということは素晴らしいと思います。今後も海上交通安全のために、IoT、衛星など最先端技術を取り入れていく伝統は受け継がれていくでしょう。
出向先では、衛星や電波の専門用語が飛び交い、様々な衛星事業者、研究者などとお話しする機会がたくさんあります。海上保安庁にいたときも、航路標識や海上交通安全の専門用語が飛び交い、様々な海事関係者、研究者と話していたことを思い出し、出向しても仕事の基本は変わらないと捉え、今まで持ち得なかった新しい知見、経験などを吸収しようと思います。
このような出向のチャンスもあります。10年後の未来を創る仕事しませんか。