先輩からのメッセージ (交通部) 平成30年度版
○H30入庁(1年目) | 「知らない世界に飛び込む」 | |
○H20入庁(11年目) | 「海が見えなくても」 |
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私は4月に採用されたばかりで、まだ2ヶ月ほどしか働いていない若輩者ですが、国家公務員を目指す皆さんの立場には、一番近いと思いますので、国家公務員として採用されるまでと採用されてからの大きく2つにわけて、私の経験をお伝えいたします。
○採用まで
私は、大学において土木工学の砂防分野を専攻しており、大学で学んだことを活かせる仕事に就こうと考えていました。就職にあたっては、民間や公務員のどちらかしか考えていないというわけではなく、ゼネコンに代表される民間だけでなく、公務員の土木職に就職することも検討していました。
官庁訪問では、海上保安庁が採用を行っているということは知っていましたが、どんな仕事をしているのかということについては、あまり分からずに訪問したことを覚えています。交通部を選んだきっかけは、自分が関わったことのない分野であったけれども、「ぜひ飛び込んでみたい」という気持ちになったことと、職員の方の「ともに働きたい」という熱意が伝わってきたことでした。また、官庁訪問の中で印象に残った質問は、「あなたはどういう人間であるか」という質問でした。自分の人生を振り返る質問だったので、しばらく考えさせていただいてから導いた答えは、「水に縁のある人間である」でした。
官庁訪問の最終日に内々定をいただいてからは、10月に東京の本庁で内定をいただくということがありましたが、4月に採用となるまで、学生生活の総仕上げとなる卒業研究を進めていきました。卒業論文の提出や発表が2月の後半に終了すると、残された学生生活はわずかになっていることに気づき、あわてて国内旅行を行いましたが、今振り返ると、やり残したことはたくさんあります。学生のうちにもっとたくさんのことをしておけばよかったと感じています。
○採用後
4月を迎えると、入庁式に参加し、ついに海上保安官としての一歩を踏み出しました。最初の1ヶ月ほどは全省庁合同の研修や国土交通省における総合職採用職員の研修に参加し、国家公務員としての心構えや、国土交通省の役割や政策について学びました。班内討議はもちろん、時間外にはさまざまな背景を持つ同期と親睦を深めることができました。
研修が終わると、いよいよ本格的に仕事が始まりました。私は企画課業務係という部署で、航路標識の運用や監督、公示といった業務を行っています。今現在は、わからないことがたくさんあり、先輩や上司に聞いてばかりですが、精進していく日々です。一方で、専攻とは異なる分野で仕事をしている中で、未知の世界と触れ合うことは驚きの連続で、飽きのこない職場だと感じています。
このページを読んでいただいたみなさんが、海上保安庁の扉をたたいていただけるのをお待ちしております。
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国家公務員総合職を目指している皆さん、私のメッセージをご覧いただきましてありがとうございます。私は10年前に国家公務員Ⅰ種(現在の国家公務員総合職)職員として海上保安庁交通部に採用されました。この拙いメッセージが皆さんの将来を思い描くに当たって参考になれば幸いです。
◆いまのしごと
私は東京都立川市にある海上保安試験研究センターで勤務しています。海上保安庁の組織ですが、海から遠く離れています。以前にも、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に出向し、茨城県つくば市で勤務していたこともあり、内陸ばかり巡るのは海上保安官としては珍しいのかもしれません。
当センターでは、海上保安庁が実施する業務に新技術を導入するための研究開発や試験を行うほか、海上で発生した事件の捜査に必要となる鑑定分析を実施しています。その中で、私は各種電子機器のハード・ソフトに関する研究開発や鑑定分析を担当しています。
分析する電子機器は、船舶に搭載されたレーダーやGPSプロッターなどの航海計器のほか、携帯電話・スマートフォンが対象になります。陸上では、スマートフォンのGPS機能を使った地図アプリで自分の位置を調べることは一般的ですが、最近では、海上においても船の位置を調べることができるようなアプリが登場しています。また、そのようなアプリの中には、船同士でお互いの位置を共有して、あたかもレーダーの如く航海計器に準じた使い方ができるようなものもあります。
また、携帯電話・スマートフォンに残ったGPSログは、事故が起きたときに何が起きたのかを把握する重要な手がかりにもなります。しかし、海上で大きな事故が起きて船が沈没してしまうと、航海計器はもちろん、携帯電話・スマートフォンも電源が入ったまま一緒に海中に沈んでしまいます。海水に沈んだ電子機器はそのままでは動きません。そこで、海没した電子機器を復旧させ、データを取得するための研究や鑑定を進めています。
このほかにも、静止画・動画・音声を分析して、そこで誰が何をしているのか知るための技術開発や分析を担当しています。出身専攻は車両機械ですので専門知識に直結する分野ではありませんが、自身の知見を生かし、業務に取り組めています。
◆いままでのしごと
私は入庁してから、主に国際系と技術系の仕事を担当してきました。前述のとおり、途中3年間はJAXAに出向しました。JAXAでは、毎月欧州宇宙機関(ESA)とのテレビ会議で技術仕様を協議して、日欧共同開発中の地球観測衛星に係る地上系情報処理システムの設計等をしていました。
入庁に当たっては、英語が得意ではなかったため、国内が主戦場となる官庁を選んだつもりだったのですが、業務で英語を使用する機会も多く、英語は業務上不可欠なツールになっています。ツールという面では、英語のほか数学物理やIT技術など理系の知識も必要されています。技術系総合職職員には理系の知識を背景に施策展開を行うことが期待されていると感じています。
◆さいごに
技術系総合職職員として採用される方であれば、数学、物理、化学、情報等、幅広く理系の知識を取得した上で、更に何か専門分野を持っていて、その分野での特別な課題に取り組んだ経験を持っているかと思います。
海上保安庁交通部で、皆さんの経験を生かしてみませんか。