海氷の生成と拡がり

海氷の生成

海氷の発生
海氷の発生
(濃白色は蓮葉氷)
海氷の発生
海氷の成長
(蓮葉氷の間も凍っています)

真水は0℃で凍り始めますが,海水は塩分を含んでいるために真 水とは異なり,約 -1.8 ℃で凍り始めます(但し,海水が凍ると は言っても,実際に凍るのは真水だけで,塩分部分(濃い海水) は凍っていない海水中に排除されます).

海水温が約 -1.8 ℃になり,更に熱(潜熱)が奪われて行くと, 海水中の真水の一部が結晶し,短冊状又は針状の晶氷と呼ばれる 氷が出来ます.

風や海面に波・うねり等が無ければ,晶氷はゆっくりと成長し, 互いに凍りながらニラスや氷殻となり,海面に拡がり厚さを増し て行きます.

然し,通常の海面は,波やうねりが存在しているので,生まれた ばかりの晶氷は,互いにぶつかり砕けながら結合し,より大きな グリースアイスと呼ばれる,「どろどろ」のお粥状の氷の塊とな って成長して行きます. そして,グリースアイスは波の運動により波の谷に集まり,互い にぶつかり合って円形状になり縁が少し捲り上がります.この円 形状の氷を蓮葉氷と呼んでいます.

グリース・アイスから蓮葉氷が出来るようになると,波が次第に 静まります.そのために蓮葉氷と蓮葉氷の間も凍って行きます. そして,海面は 0.1m 程度の厚さの弱い氷に覆われてるようにな ります(この段階までの氷を総称して,新生氷と云います).

その後,更に寒さが続くと,新生氷は硬さや厚さを増して行きな がら,板状軟氷等の氷板となり,またこれ等が風によってぶつか り,重なり合いながら成長して行きます.

海氷の拡がり

海氷域の拡張
海氷域の拡張
海氷域の後退
海氷域の後退
【気象庁資料を基に作図】

11月下旬になると,オホーツク海西部域のシャンタル諸島周辺海域 やサハリン湾が結氷し始めます. 海氷域は徐々に,その勢力を西に寄りながら,その幅をシベリア大 陸沿いに拡げ,サハリン東岸沿いに南下して行きます.

12月中旬,海氷はテルペニア半島に達し,下旬にはスパボロドーヌ イ岬(愛郎岬),トニノ・アニフスキー半島にまで延びて来ます.

1月上旬にアニワ岬東方から舌状に南伸し,中旬に北海道オホーツ ク沿岸に接近します. また,北海道オホーツク沿岸の海水も結氷温度となり,徐々に沿岸 域も海氷で覆われるようになります. そして,サハリン東岸を南下してきた流氷と沿岸域の海氷とが混在 し,氷野を形作ります. 一方,オホーツク海中央域は広い無氷域です.

1月下旬・2月上旬と季節が進むにつれ,流氷は其の勢力を増し, 3月中旬まで氷野は拡張して行き,オホーツク海全体の8割が氷 で覆われるようになります. また,最盛期には宗谷海峡から日本海への流入や,根室海峡・国後 水道及び択捉海峡を通り太平洋への流出も見られるようになります.

3月中旬以降,気温の上昇に伴いオホーツク海の海氷は,融解をし なが後退して行き,6月には殆ど消滅してしまいます.

なお,オホーツク海の海氷の厚さは北部で1m,南西域で0.4m前後 と言われています.

このページは,以下の文献を参考にさせて戴きました.