海氷用語等につきましては,1970年に世界気象機構(WMO)によって刊行された流氷用語集に拠っています (気象庁海氷用語 測候時報第42巻第7号別冊(昭和50年7月)及び気象庁海洋観測指針).
海氷用語の解説
目次
浮氷 ( ) 内の英数字は,海氷の記号を表しています.
- 海氷 [Sea ice/かいひょう]
- 海水が凍結して出来た海で見られる全ての氷.
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発達過程 ( ) 内の英数字は,海氷の記号を表しています.
- 新成氷 [New ice/しんせいひょう] (N)
- 新しくできた氷に対する総称で,晶氷,グリース・アイス,雪泥,ス ポンジ氷などが含まれる.
この種の氷は,凍結しているにせよほんの弱い程度である晶氷から出 来ており,浮いている場合のみ一定の形になっている.
- 晶氷 [Frazil ice/しょうひょう] (Cr)
- 水中を浮遊する微細な針状或いは板状の氷.
- グリース・アイス [Grease ice] (Gr) 【image】
- 晶氷より後の凍結段階で,晶氷が互いに集まって水面にスープ状の層 を作っている.
グリース・アイスは光を余り反射しないので,海面は鈍く見える.
- 雪泥 [Slush/せつでい] (Sl)【image】
- 陸上か又は氷の上で水を十分含んだ雪,又は豪雪の後の水中の粘々し た浮遊する雪の塊.
- スポンジ氷 [Shuga] (Sg)
- 直径数cmの海綿状の白い氷の集合体.
グリース・アイス,雪泥,時には碇氷が海面に浮上して出来る.
- ニラス [Nilas] (Ni)【image】
- 薄い弾力のある外殻の硬い氷で,波やうねりで容易く曲げられ,強く押されると 指を組み合わせたような形(ゆび状のしあがり)になる.
表面は光沢がなく厚さは10cm以下,暗いニラスと明るいニラスとに分けられる.
- 暗いニラス [Dark nilas] (Nd)
- 厚さ5cm以下の非常に暗い色のニラス.
- 明るいニラス [Light nilas] (Nl)
- 厚さ5cmより厚いニラスで,暗いニラスより明るい色をしている.
- 氷殻 [Ice rind/ひょうかく] (R)【image】
- 穏やかな海面で直接結氷するか,又はグリース・アイスから形成され る脆くて輝いた表面の硬い氷.
通常塩分の少ない水に出来る.厚さは凡そ5cm,風やうねりによって 容易く割れ,よく矩形の氷片になる.
- はす葉氷 [Pancake ice/はすはごおり](P)
- 互いにぶつかり合って縁がまくれ上がったほぼ円形の氷塊.直径30cm〜3m,厚さは約10cmになる.グリース・アイス,雪泥,スポンジ氷などから弱いうねりでつくられたり,氷殻やニラスがこわれたり,波やうねりのはげしいときは薄い板状軟氷がこわれたりして出来る.
それはまたしばしばある深さで,物理的性質の異なった水塊間の境界面でできて表面に浮いてくることがあり,急速に広い海面をおおう.
- 板状軟氷 [Young ice/ばんじょうなんぴょう](Y)
- ニラスから一年氷への移行の段階で,厚さは10〜30cmの氷.薄い板状軟氷と厚い板状軟氷に分けられる.
- 薄い板状軟氷 [Grey ice](Y1)
- 厚さ10〜15cm の板状軟氷で,灰色を呈し,ニラスより弾力がなく,うねりによって破壊される.普通圧力によって積み重なる.
- 厚い板状軟氷 [Grey-white ice](Y2)
- 厚さ15〜30cmの板状軟氷で,灰白色を呈し,圧力によって積み重なるよりも隆起状になる.
- 一年氷 [First-year ice/いちねんごおり] (W)
- 板状軟氷から発達し,一冬より長くは経過しない海氷で厚さ30cm〜2m,薄い一年氷(白い氷),並みの一年氷,厚い一年氷に分類される.
- 薄い一年氷 [White ice](W0)
- 厚さ30〜70cmの一年氷.
- 並の一年氷 [Medium first-year ice](W1)
- 厚さ70〜120cmの一年氷.
- 厚い一年氷 [Thick first-year ice](W2)
- 厚さ120cmをこえる一年氷.
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浮氷の形態 ( ) 内の英数字は,海氷の記号を表しています.
- 定着氷 [Fast ice/ていちゃくひょう]【image】
- 海岸に接して形成された定着している海氷で,その場の海水が凍結するか,流氷が海岸に固着して形成される.
水位の変化で垂直な上下動が見られる.
- 初期沿岸氷 [Young coastal ice]
- ニラスや板状軟氷からなる定着氷の初期の段階で,その幅は海岸線から数mから約200mまでに及ぶ.
- 氷脚 [Icefoot/ひょうきゃく]
- 海岸に沿って固着したせまく長い氷で,潮汐によって動かされることもなく,定着氷が動き去った後も残っている部分.
- いかり氷 [Anchor ice/いかりごおり]
- 氷の生成の過程に無関係に,海底に接触または固着している水中の氷.
- 座礁氷 [Grounded ice]
- 浅瀬に乗り上げた浮氷.
- 流氷 [Drift ice/りゅうひょう]
- 定着氷以外のすべての海氷域を含める広義の用語で,その形態や配置に関係しない.
なお,英語では密接度が7/10以上の場合には,Drift iceの pack iceを用いてもよい.
以前はPack iceがすべての密接度の流氷に用いられた.
- はす葉氷 [Pancake ice/はすはごおり] (P)
- 発達過程の「はす葉氷」を参照.
- 氷盤 [Floe/ひょうばん] (F)
- 直径が20m以上の比較的平らな海氷塊.氷盤は広さによって次のように分類される.
- 巨大氷盤 [Giant] (Fg)
- 直径10km以上.
- 巨氷盤 [Vast] (Fv)
- 直径2〜10km.
- 大氷盤 [Big/だいひょうばん] (Fb)
- 直径500m〜2km.
- 中氷盤 [Medium/ちゅうひょうばん] (Fm)
- 直径100〜500m.
- 小氷盤 [Small/しょうひょうばん] (Fs)
- 直径20〜100m.
- 板氷 [Ice cake/ばんぴょう] (Ck)
- 直径が20mより小さい比較的平坦な海氷.
- 小板氷 [Small ice cake/しょうばんぴょう] (Cs)
- 直径が2mより小さい板氷.
- 大氷岩 [Floeberg/だいひょうがん] (Fl)
- 一つの氷丘または幾つかの氷丘が凍りついて出来た大きな海氷塊で,周囲の海氷とかけ離れている.海面上5m以下の高さで浮いている.
- 砕け氷 [Brash ice/くだけごおり] (Br)【image】
- 直径2m以下の氷片で,様々な形に砕けた浮氷の集まっているもの.
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氷の量 ( ) 内の英数字は,海氷の記号を表しています.
- 氷量 [Ice cover]
- かなりの広さをもつ海域で,その全海面に対するある量をもった氷の部分の比率を云う.この海域とは地球全体,半球でもよいし,またバッフィン湾,バルト海のような特定の実際の海について限定してもよい.
- 密接度 [Concentration]
- ある氷域の中の氷の分布状態がばらばらになっているか,つまっているか,その平均の密集程度を10分位方か8分位法で表わす.
- 全密接氷域 [Compact ice]
- 密接度10/10(8/8)で,海水面がまったく見られない浮氷.
- 凍結密氷域 [Consolidated ice]
- 密接度10/10(8/8)で,氷盤が互いに凍りついている浮氷.
- 最密氷域 [Very close ice]
- 密接度9/10〜10/10(7/8〜8/8)の浮氷.
- 密氷域 [Close ice]
- 密接度7/10〜8/10(6/8〜7/8)の氷盤の集まりからなる浮氷.氷はだいたい接触している.
- 疎氷域 [Open ice]
- 密接度4/10〜6/10(3/8〜6/8)で,多くの水路や氷湖がある浮氷.氷は通常接触していない.
- 分離氷域 [Very Open ice]
- 密接度1/10〜3/10(1/8〜3/8)浮氷.氷より水面のほうがはるかに多い.
- 配列 [Arrangement]
- 流氷野 [Ice field]
- いろいろの大きさの氷盤群からなる流氷域で,直径は10kmより大きいもの.(流氷原と比較せよ)
- 大流氷野 [Large ice field]
- 直径20kmを越える.
- 中流氷野 [Medium ice field]
- 直径15〜20km.
- 小流氷野 [Small ice field]
- 直径10〜15km.
- 流氷原 [Ice patch]
- 直径が10kmより小さい流氷域.
- 流氷帯 [Belt]
- 幅1kmから100km以上に及ぶ長く大きな流氷の帯.
- 氷舌 [Tongue]
- 風や海流によって氷の縁が長さ数kmに張り出したもの.
- 小氷帯 [Strip]【image】
- 幅が約1km以下で通常流氷の本体から分離した小氷片からなる細長い流氷帯.風,うねりあるいは海流の作用で寄り集まって漂流する.
- 入江 [Bight]
- 氷の縁の中で広く三日月状に入り込んだ部分.風や海流によって出来る.
- アイス・ジャム [Ice jam]
- せまい海峡に砕けた河氷や海氷がつまった状態.
- 氷の縁 [Ice edge]【image】
- さまざまの形の海氷と開放水面との任意の時刻における境界.
定着しているか漂流しているかを問わない.密な氷の縁とゆるんだ氷の縁とに分けられる. (氷域境界と比較せよ)
- 密な氷の縁 [Compacted ice edge]
- 風や海流で圧縮されて密接し,そのへりがはっきり切れたような氷の縁.
通常,流氷域の風上側に出来る.
- ゆるんだ氷の縁 [Diffuse ice edge]
- 散らばった氷の区域でそのへりがはっきりしない氷の縁.
通常,流氷域の風下側に出来る.
- 氷限 [Ice limit]
- 多年の観測に基づくある特定の月または期間の最小や最大の氷の縁の位置に関する気候学的用語.
用語には最小,最大をつけて云う.(平均の氷の縁と比較せよ)
- 平均の氷の縁 [Mean ice edge]
- 多年にわたる観測に基づくある特定の月や期間における氷の縁の平均位置.
最大平均氷の縁,最小平均氷の縁という用語も使用することがある.(氷限と比較せよ)
- 定着氷の縁 [Fast-ice edge]
- 定着氷と開放水面との任意の時刻における境界.
- 氷域境界 [boundary]【image】
- 定着氷と流氷との間,または異なった密接度の流氷域の間の任意の時刻における境界.(氷の縁と比較せよ)
- 定着氷境界 [Fast-ice boundary]
- 定着氷と流氷の間の任意の時刻における境界.
- 密接度の境界 [Concentration boundary]
- 明らかに異なった密接度をもった二つの流氷域の概略の境界.
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流氷の運動作用 ( ) 内の英数字は,海氷の記号を表しています.
- 分散 [Diverging]
- 氷野や氷盤群が密接度を減じ氷域の中の圧迫がゆるめられ,分散することである.
- 密集 [Compacting]
- 密接度が増したり,氷域の変形によって圧迫が加わったりして収束運動を受けている場合,浮氷群は密集していると云う.
- シアーリング [Shearing]
- 氷の運動が回転力をうけ,運動に直角方向に有意に変化する場合,流氷域はずれ(Shearing)の運動を受ける.これらの力は分離帯(Flaw)に似た現象をおこす.
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変形作用 ( ) 内の英数字は,海氷の記号を表しています.
- 破砕 [Fracturing]
- 圧迫作用により氷は常に変形し,裂け目が生ずる.最密氷域,全密接氷域,凍結密氷域などに起こる破壊を記述するのにもっとも一般的に使用される.
- 氷丘化 [Hummocking]
- 圧迫作用によって海氷が氷丘になること.
その過程で氷盤が回転する場合"ねじれる"(Screwing)と呼ばれる.
- 氷脈化 [Ridging]
- 海氷が氷脈を作るような圧迫作用.
- のしあがり [Rafting]
- 圧力を受けて氷塊が互いに重なり合うことをいい,新成氷や板状軟氷においてもっとも普通に見られる.(ゆび状のしあがり参照)
- ゆび状のしあがり [Finger rafting]
- 積載過程の形で,互いに組み合い押し合って形成される.
氷盤が上になったり下になったりしてゆび状の氷片が組み合った状態.通常,ニラス,薄い板状軟氷で出来る.
- 風化 [Weathering]
- 氷の表面の起伏をしだいに平らにしてゆくような作用.
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氷域中の海水面 ( ) 内の英数字は,海氷の記号を表しています.
- 割れ目 [Fracture]
- 変形作用の結果,最密氷域,全密接氷域,凍結密氷域,定着氷,または単独の氷盤に起こる切れ目や裂け目.
割れ目には砕け氷があったり,ニラスや板状軟氷が張りつめていることもある.長さは数mから数kmに及ぶものもある.
- クラック [Crack]
- 氷を互いに分離させるに至らないき裂.
- タイド・クラック [Tide Crack]
- 動かない氷脚あるいは氷河壁と定着氷との接合部にあるクラックで,定着氷は潮汐によって上下する.
- 分離帯 [Flaw]
- 流氷と定着氷との間のせまい分離帯で,その中は氷片が混乱した状態になっている.
強い風や海流によって定着氷境界に沿って流氷が切り取られて出来る.(シアーリング参照)
- 微小割れ目 [Very small fracture]
- 幅0〜50m.
- 小割れ目 [Small fracture]
- 幅50〜200m.
- 中割れ目 [Medium fracture]
- 幅200〜500m.
- 大割れ目 [Large fracture]
- 幅500mをこえる.
- 割れ目域 [Fracture zone]
- 多数の割れ目のあるところ.
- 水路 [Lead]
- 海氷域の中で,海上の航行が可能な割れ目や,せまい通路.
- 沿岸水路 [Shore lead]
- 流氷と海岸,あるいは流氷と浮氷壁との間の水路.
- 分離帯水路 [Flaw lead]
- 流氷と定着氷との間の航行可能な水路.
- 氷湖 [Polynya]
- 氷で囲まれた直線的な形でないさまざまな海水面.氷湖には砕け氷があったり, 新成氷,ニラス,板状軟氷でおおわれてもよい. 潜水して見るとスカイライトになる.一方の側が海岸や定着氷に接している時
には沿岸氷湖,分離帯氷湖と云う.
もし毎年同じ場所に現れるならば再現表湖と云う.
- 沿岸氷湖 [Shore polynya]
- 流氷と海岸あるいは流氷と浮氷壁との間の氷湖.
- 分離帯氷湖 [Flaw polynya]
- 流氷と定着氷との間の氷湖.
- 再現氷湖 [Recurring polynya]
- 毎年同じ場所に現れる氷湖.
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氷の表面の特徴 ( ) 内の英数字は,海氷の記号を表しています.
- 平たん氷 [Lebel ice](L)
- 変形を受けていない海氷.
- 変形氷 [Deformed ice](H)【image】
- 互いに押し合い,所によっては押し上げまたは押し下げられたりしている氷の総称で,いかだ氷,氷脈氷,氷丘氷に分けられる.
- いかだ氷 [rafted ice](H0)
- 氷塊が互いに重なり合っている変形氷の一種.(ゆび状いかだ氷と比較せよ)
- ゆび状いかだ氷 [Finger rafted ice](H1)
- いかだ氷の一種で,交互に他の氷の上になったり下になったりしてゆび状に突き出した氷盤.
- 氷脈 [Ridge](H1)
- 圧力を受けて作られ.壊れた氷の山脈状あるいは壁状の部分.
新しいものと風化したものとがある.圧迫によって押し下げられた氷 脈の下の水中の部分は,竜骨氷(Ice keel)という.
- 新氷脈 [New ridge]
- 新しくできた氷脈.鋭い峯で斜面の傾斜は普通40°.氷片は低高度での空中から見られる.
- 風化氷脈 [Weathered ridge]
- 頂上が少しまるくなって,斜面の傾斜が普通30〜40°の氷脈.個々の氷塊は見分けられない.
- 最風化氷脈 [Very weathered ridge]
- 頂上が非常にまるみをおびていて,斜面の傾斜は通常20〜30°の氷脈.
- 老氷脈 [Aged ridge]
- 相当に風化した氷脈.峯はゆるやかに起伏している.
- 凍結氷脈 [Consolidated ridge]
- 土台の部分が互いに凍りついている氷丘.
- 氷脈氷 [Ridged ice zone]
- 同じような特徴をもった氷脈氷が大量にある区域.
- 氷丘 [Hummock](H2)
- 圧力によって押し上げられ壊された氷の丘.新しいものと古いものとがある.
圧力によって下方に押しつけられ,氷丘の下で壊された氷塊の水中の部分をさかさ氷丘(Bummock)という.
- 氷丘氷 [Hummocked ice]
- 氷片が互いに不規則に積み重なった起伏のある海氷.風化されるとなだらかな丘陵状になる.
- 直立氷盤 [Standing floe]
- 垂直あるいは傾斜して立っている単独の氷盤で,比較的平らな氷で囲まれている.
- 氷衝角 [Ram]
- 氷河壁,浮氷壁,氷山や氷盤から氷面下に張り出した氷の部分.
通常,それらの氷の水面上の部分のはげしい融解や侵食によって出来る.
- はだか氷 [Bare ice]
- 積雪のない氷.
- 冠雪氷 [Snow-covered ice]【image】
- 雪をかぶった氷.
- サスツルギ [Sastrugi]
- 風食や堆積により雪面に生じた鋭い不規則な起伏.
動きやすい浮氷上ではその起伏はそれが作られた期間の主風向に平行な峯をつくる.
- 吹きだまり [Snowdrift]
- 風で吹き飛ばされた雪が障害物の風下にたまったり,また風のうずで積み上げられたもの.
両端が風下方向に向いた三日月形の吹きだまりはスノーバルカン(snow barchan)として知られる.
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融解過程 ( ) 内の英数字は,海氷の記号を表しています.
- パドル [Puddle]【image】
- 氷上のとけた水のたまりで,主として積雪がとけたものであるが,さらに進んだ段階では氷自身の融解にもよる.初期の段階では融雪の斑点が出来る.
- 底なしパドル [Thaw holes]
- パドルがとけて下の海水までつき抜けた海氷中の垂直な穴. (註)その外,パドルには南極観測隊で使用している有孔パドル(Puddle with holes)と凍結パドル(Frozen
puddle)とがある.
- かわき氷 [Dried ice]
- クラックや底なしパドルができて,たまっていた融けた水が表面から流れ去ったあとの氷.乾燥している間は表面は白みがかっている.
- はちの巣氷 [Rotten ice]
- はちの巣状になった崩壊の進んだ海氷.
- 浸水氷 [Flooded ice]
- 融水や河の水がしみこみ.水や湿った雪で重くなった海氷.
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海上航行に関係ある用語 ( ) 内の英数字は,海氷の記号を表しています.
- ビセット [Beset]
- 船が氷にとり囲まれ動けない状態.
- 氷塞 [Ice-bound]
- 湾や入江などが氷のために船の航行が妨げられたときにいう.
ただし砕氷船の援助が可能なときには使用しない.
- ニップ [Rotten ice]
- 氷が船を強く押しつけた状態.
氷にはさまれている船が損害を受けていなくてもニップを受けているという.
- 圧迫氷 [Ice under pressure]
- 変形作用が活発に行われている氷で,そのため航行の障害や危険が起こるおそれがある.
- 難航氷域 [Difficult area]
- ある海域で航行が困難なきびしい氷の状態が卓越している氷域.
一般に船の大きさ,機能などにより定性的に表現する.
- 可航氷域 [Easy area]
- ある海域で航行が困難でない状態が卓越している氷域.
一般に船の大きさ,機能などにより定性的に表現する.
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その他 ( ) 内の英数字は,海氷の記号を表しています.
- 氷厚
- 海氷の厚さであって,平たんな海氷では問題ないが起伏のある海氷については,平均氷圧,最大氷圧などで表示することもある.
特に起伏の多い海氷の場合は標高で表わした方が良い.
- 氷高
- 海氷の海面上の高さで,氷厚と同様平坦な海氷では問題ないが,起伏のある海氷については,最大氷高のほか平均氷高で表示することがある.単に氷高といった場合は最大氷高の意である.
- 港内結氷初日(こうないけっぴょうしょにち)
- 港内で初めて新成氷が生じた日.
- 港内結氷終日(こうないけっぴょうしゅうじつ)
- 港内で定着氷,新成氷が見られた最後の日で,特殊な場所に乗り上げて残った氷塊などは考慮しない.
- 沿岸結氷初日(えんがんけっぴょうしょにち)
- 港内,港外を含めた沿岸で初めて新成氷が生じた日.
- 沿岸結氷終日(えんがんけぴょうしゅうじつ)
- 港内,港外を含めた沿岸で定着氷及び新成氷が見られた最後の日で,特殊な場所に乗り上げて残った氷塊などは考慮しない.
- 流氷初日(りゅうひょうしょにち)
- 視界内の海面に初めて流氷が見えた日.
- 流氷終日(りゅうひょうしゅうじつ)
- 視界内の海面で流氷が見えた最後の日.
- 流氷接岸(りゅうひょうせつがん)
- 流氷が海岸に漂着することで,沿岸結氷がなくなる程度に近づけばよい.
密接した流氷域の接岸の程度により,完全接岸.
部分接岸の用語等も使用される.また,初日,終日を付して部分接岸初日などということもある.
- 海あけ(うみあけ)
- 付近沿岸域の流氷が,氷量5以上から5以下となり,そのまま流氷終日 まで続く最初の日で,船舶航行開始の一つの目安とされている.
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