用語の解説(天文)
シーイング(seeing)
川の上から川底の石を見ると、水の流れによって石の像が揺れ動いて見えるのと同じように、大気の運動のために天体の像が乱れて見える現象。
シーイングの5段階表記
星像の状態 | 表記 |
最も良い | I |
良い | II |
普通 | III |
悪い | IV |
非常に悪い | V |
|
正確には、星像の揺れの大きさを角度で表しますが、
一般的には揺れの大きさを経験的に5段階程度に分類して左表のように表すことが多いです。 |
視位置
地球の中心から天体を観測したと考えた場合の天体の位置。
視赤経・視赤緯、
視黄経・視黄緯等。
天体位置表や、一般の天文データ集などに掲載されている位置の多くは、視位置です。
実際の観測は地球表面で行われるので、視位置に地平視差、日周光行差の補正を視位置に加える必要があります。
視直径(視半径)
天体の場合、その大きさを表す場合実際の大きさよりも、角度を用いて見かけの大きさを表すことが多くあります。
このようにして表した見かけの直径(半径)を
視直径(半径)と呼びます。
これは、天体までの距離がまちまちであるためです。
左の図では、
BはAの倍の大きさを持ちますが、
距離が倍離れているため
見かけの大きさが同じになっています。
左の図のと同様な例としては、
太陽と月の関係があります。
太陽は月の約400倍の直径を持ちますが、
地球からの
距離も月の約400倍遠くにあるため、視直径はどちらも約
0.5度となります。
視直径は角度で表しているため、単位は°(度)、′(分)、″(秒)などを用います。
星座
人間が夜空に輝く星星を見上げるようになると、やがて星と星を結んだ形の中に神話の神々や怪物の姿、あるいは生活に密着した器具の形を見いだすようになりました。
こうして世界各地で、その地独特の星座が発達して行きました。
現代の我々が「星座」として用いているものは、古代メソポタミヤで生まれ、ギリシャ・ローマをへて広がったものがもとになっています。
また、南天の星座には、大航海時代の船乗りや天文学者たちが名付けたものも多く、そのため航海器具、天文観測器具の名前の星座も残っています。
元来は、単純に星を線で結んだ形に過ぎませんでしたが、やがて星の位置を表すために星座を利用するようになりました。
こうなると、星座と星座の境界線が明確で無いといろいろと不都合が生じることから、
1930年に、IAU(国際天文学連合)において
88の星座とその
境界線が定められました。
現在使用している星座は、この時の取り決めによって定められたものです。
星座の名称等については、
星座の名称と略符をご覧下さい。
星表
恒星や、星雲、星団などの位置や等級、スペクトルといった値を記載した表で、カタログ(Catalogue)とも言います。
一般に星表は使用する明確な目的があって作られることが多く、星の位置に重点を置く「位置星表」や、
重星のみを記載した「重星星表」、電波天体や赤外線星のカタログなど、多くの種類の星表があります。
目的別の星表の例としては、NZCカタログや、XZカタログなどの「黄道帯星表」と呼ばれている星表などがあります。
この黄道帯星表は、月の通る道筋の星についてのみ記載された星表です。