東京湾再生のための行動計画(第二期)の概要

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 1.東京湾の環境を巡る課題

 東京湾は、我が国の社会経済の中心である首都圏を擁する閉鎖性の内湾であり、高度経済成長期以降急速に進められた開発により、その流域や臨海部には人口や産業が集積し、我が国を牽引する膨大な都市・産業機能が形成されました。
 その一方で、人口や産業の集中・集積に伴う環境負荷の増大や、沿岸域の埋立による干潟・浅場等の消失により富栄養化が進み、夏季に広域でほぼ慢性的に発生する赤潮や、有機汚濁による貧酸素水塊や青潮の影響により魚介類が斃死し生物が減少する等、環境への影響が顕在化するようになっています。
 これらの環境影響への対策として、これまで、陸域における各種施策の推進により流入汚濁負荷を削減するとともに、海域における様々な環境改善の取組が実施されてきましたが、水質は一時に比べ改善されつつあるものの、生物生息状況は必ずしも芳しいものと言えず、改善はごく一部に留まっています。
 これは、過去から営々と積み重ねられてきた活動の総体としての環境への影響が、自然の浄化能力を超え、負の遺産として東京湾に蓄積されていることにも起因しています。

 2.行動計画(第二期)の体系

(1)全体目標

 東京湾再生における理念及び意義を踏まえて、東京湾再生に向けた全体目標を以下の通り設定しました。

快適に水遊びができ、「江戸前」をはじめ多くの生物が生息する、親しみやすく
美しい「海」を取り戻し、首都圏にふさわしい「東京湾」を創出する。

 行動計画(第二期)においては、「東京湾全体でとれる新鮮な魚介類」を「江戸前」と定義し、東京湾再生と「食」とを結びつけ、「江戸前」が豊かに生息する環境を、目指すべき東京湾再生の姿のひとつとして目標の中に新たに取り入れました。

(2)小目標

 全体目標の達成に向け、多様な主体の参画や協働を促し、各方面での取組をより協力に推し進めるために、全体目標を更に分かりやすく身近で具体的なイメージに展開し達成感をもって取組を進められるように、全体目標を構成する要素毎に小目標を設定します。

(3)評価指標

 目標で掲げた定性的な目標をより定量的に示すとともに、水環境の改善状況や施策の進捗状況を把握・評価するものとして、「評価指標」を設定します。
 行動計画(第一期)では、評価指標が「底層のDO」のみであったため、底層のDOに直接影響しない取組を適切に評価できなかったことを踏まえ、行動計画(第二期)においては、多様な取組の効果を適切かつ分かりやすく把握・評価できる指標を評価指標として設定します。

(4)計画期間

 平成25年度から10年間。

 3.目標達成のための施策の推進

(1)陸域負荷削減策の推進

第7次総量削減計画を実施し、総合的な負荷削減対策を推進

下水道の普及や高度処理(段階的高度処理の導入含む)の実施、農業集落排水施設の整備、合併処理浄化槽の設置等、汚水処理施設の整備・普及を実施

 

合流式下水道の改善計画に基づき、中小規模の都市では平成25年度末までに、大規模の都市では平成35年度末までに、重点的に改善事業を実施

 

河川直接浄化施設による浄化、浚渫等の有機汚濁対策に加え、湿地や河口干潟再生を積極的に推進

 

貯留・浸透施設の設置による雨水流出の抑制を実施、間伐等の森林の整備・保全を実施

 

市民等とともに清掃活動を実施し、浮遊ごみ等の改修を実施

 

(2)海域における環境改善対策の促進

干潟、浅場、藻場等の保全・再生・創出、覆砂等による底質改善、生物共生型護岸等の整備・改修、深掘跡の埋め戻しを推進

 

運河等の湾奥部を中心とした堆積有機物をはじめとする底泥の除去(汚泥浚渫)等を効果的に推進

 

海面を漂う浮遊ゴミ・油等については効率的な回収を進め、NPOや企業、漁業者等による海底ゴミの回収や海浜・干潟の清掃活動を推進する。

 

貧酸素水塊及び青潮発生メカニズムの解明及び有効対策の実施

(3)東京湾のモニタリング

モニタリングポストや海洋レーダー、調査船等による水質・底質調査、赤潮・青潮調査、生物調査等の実施

 

東京湾水質一斉調査の実施

 4.その他

(1)アピールポイントの設定

 行動計画(第一期)では、東京湾内に「重点エリア」を設けるとともに、重点エリア内で市民に分かりやすい場所として7カ所に「アピールポイント」を設定し、施策の効果を評価してきました。
 このアピールポイントは、比較的沿岸部に設定されており、施策の効果を端的に評価できる場所として象徴的であることから、行動計画(第一期)を継続して同じ海域を同じ名称で設定することとします。

(2)多様な関係者の連携・協働の強化

 東京湾再生の取組については、東京湾再生官民連携フォーラム(仮称)における検討・提言を踏まえ、施策に反映させるとともに、施策の実施状況について毎年フォローアップを行います。


 重点エリア及びアピールポイント

No.

アピールポイント名

改善後のイメージ

1 いなげの浜〜幕張の浜周辺

緑あふれる憩いとレクリエーションの海辺

2 三番瀬周辺

三番瀬の自然環境の保全と地域住民が親しめる海の再生

3 葛西海浜公園周辺

自然環境を保ち、生き物にやさしい干潟と海辺

4 お台場周辺

市民が水と親しめる憩いの場としての美しい風景をもつ水辺

5 多摩川河口周辺

多様な生き物を育み、自然豊かな海辺

6 みなとみらい21周辺

市民に開かれた魅力的な親水ゾーン・港情緒を味わうことができる海辺

7 海の公園・八景島周辺

海水浴や潮干狩り、釣りなど多様なマリンレジャーを楽しむことができる海辺