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水路測量基準面2025

水路測量基準面2025とは
作成の背景
特徴
期待される効果
作成方法の概要

水路測量基準面2025とは

 「水路測量基準面2025」は、水路測量や海図の基準面(平均水面、最高水面及び最低水面)を、地球楕円体からの高さで、面的に定めたデータセットです。
 衛星三次元測位による水深測量と組み合わせて使用します。


作成の背景

 水深測量を行う際、測量を行う船舶は海面に浮かんでいます。海面は時々刻々と変動するため、水深を求めるには、それを補正する必要があります。この補正は、現在、験潮所を用いて行っていますが、験潮所は海岸に設置されているため、実際に測量を行っている船舶の位置とは多少異なります。水深には、この位置の違いによる誤差も含まれていました。  近年、衛星測位について、技術と機器の発展と普及、測位衛星の増加により、海上でも、船舶の高さを精密に測定することが可能になってきました。この衛星三次元測位で得た高さを正確に利用するため、海上保安庁では新たに面的な基準面「水路測量基準面2025」の作成を始めました。
 「水路測量基準面2025」は、水路測量の基準面である平均水面、最高水面及び最低水面の地球楕円体からの高さを、格子点上の値として面的に提供します。格子点の水平間隔は約150m(緯度経度)で提供します。この間隔は海面やジオイドの変化に対して十分細かく、船舶について、測量している位置、正にその位置の基準面の値を提供します。

従来の潮高改正の概念図
従来の潮高改正
衛星三次元測位による潮高改正の概念図
衛星三次元測位による潮高改正


水路測量基準面2025の特徴

(1) 平均水面のエポック

 「水路測量基準面2025」の平均水面は、2019~2023年の5か年平均を基本に作成しています。
 伊豆諸島など黒潮の流路による違いが大きい海域については、別途調整します。

(2) Z0

 各地の最低水面から平均水面までの高さ「Z0」は、現行の値を引き継いでいます。Z0区分図が定められている海域ではその値を使い、Z0区分図で定められていない海域では、「平均水面、最高水面及び最低水面一覧表」から、海域を連続する最も近い点を選び、その値を使用しています。
 そのため「水路測量基準面2025」において、Z0の値は滑らかではなく離散的です。0.10m程度の段差がある場合があります。水路測量以外に使用する場合は御注意下さい。
 Z0の値は、「水路測量基準面2025」の各格子点のデータにも記載されています。

(3) 解像度、格子間隔

 データは緯度5秒、経度6秒間隔の格子点で作成しています。この間隔は水平距離に直すと約150mになります。
 値の変化に対して十分細かい間隔なので、補間した場合でも、補間の手法による差は限定的です。補間せず、近い点の値を使う手法でも問題ありません。

(4) フォーマット

 カンマ区切りテキストファイルで、1つの行に緯度、経度、平均水面の楕円体高、最高水面の楕円体高、最低水面の楕円体高、Z0が記載されます。
 緯度1度経度1度の矩形を1つのファイルとします。
 ファイルの先頭行にはVersion名などのメタ情報が記載されます。
 本ホームページでは、ZIP形式で圧縮したファイルを置きます。

(5) 平均水面等一覧表との使い分け

 現在、公開している「水路測量基準面2025」は、基本的に港湾区域の外側の海域を対象としたものであり、たとえ水路測量基準面2025にデータがある海域であっても、平均水面等一覧表に「地名又は港名」が掲載されている港については、引き続き平均水面等一覧表の値を使用して下さい。
 今後、港湾に導入されたタイミングで、平均水面等一覧表の該当する行にその旨に明記しますので、港湾についてはそれをお待ち下さい。
 「水路測量基準面2025」が公開されている範囲内で、かつ平均水面等一覧表に「地名又は港名」が掲載されていない港については、「水路測量基準面2025」を使用して下さい。


期待される効果

(1) 水深測量作業の効率化

 現行の水深測量では、験潮所による潮位を使うため、験潮所の不具合による再測量のリスクがあり、験潮所がない海域での臨時の験潮所の設置などの作業が生じています。
 験潮所を必要としない衛星三次元測位による水深測量では、こうしたリスクを避け、作業を効率化できます。

(2) 水深測量の精度向上

 現行の水深測量では、験潮所と測深位置が離れたとき、補正に用いる潮位に誤差が含まれることがあります。
 衛星三次元測位による水深測量では、正に測深位置の潮位で補正するため、このような誤差が入らない、より正確な水深が得られます。

(3) 大地震などの災害に強い

 現行の水深測量では、陸上に設置された水準標からの高さで最低水面を定めていますが、災害によって水準標やそれが設置された地盤が影響を受けることがあります。
 水準測量基準面2025は、地球楕円体からの高さで最低水面を定めています。地球楕円体からの高さは大地震による地盤変動や津波等などの物理的な破壊や変動の影響を受けないため、災害後でも引き続き精度の高い水深測量をすることができます。

(4) 水深が陸上の高さと統合可能に

 衛星三次元測位による水深測量では、地球楕円体を基準とした水深が得られます。陸上については、国土地理院が令和7年4月に標高を地球楕円体基準に変更しています。同様に地球楕円体と関連付けされるため、陸上構造物の高さと海底の深さや海面の高さを容易に接続できるようになり、港湾管理や津波浸水シミュレーションなどへの利活用が期待されます。


「水路測量基準面2025」の作成方法の概要

 「水路測量基準面2025」は、様々な観測値、測量成果、モデル等を用いて、各海域の実際の海面の高さと整合するように作成された基準面です。「水路測量基準面2025」の平均水面(地球楕円体基準の平均水面)は、全国の験潮所データのほか、衛星海面高度計やジオイドモデル、海洋モデルによる再解析データ等を組み合わせて決定されました。「水路測量基準面2025」の最高水面や最低水面は、平均水面から各海域で定められたZ0だけ上げた面、下げた面として決定しました。

(1) ジオイドモデル

 ジオイドモデルとは、地球の重力による位置エネルギーの等しい面を、地球楕円体からの高さで定めたものです。重力以外の外力がない仮想的な環境下において、地球全体の平均水面の近似的な面とみなせるため、「水路測量基準面2025」の基軸となっています。ジオイドモデルには、国土地理院の作成した「ジオイド2024日本とその周辺」を用いました。

(2) 海洋モデルによる再解析データ

 海洋モデルによる再解析データとは、力学法則や観測に基づいて再現された、海洋の海面高度や流れ等のデータです。実際の海面の高さは、重力以外の様々な外力を受けるため、ジオイドモデルとは一致しません。再解析データの海面高度とジオイドモデルを組み合わせることで、より現実に即した、地球楕円体基準の平均水面の高さを得ることができます。再解析データには、気象庁の作成した「日本沿岸海況監視予測システム再解析データセット」*1及び CMEMSの「GLORYS12V1」*2を用いました。

(3) 験潮所データ

 上記のモデルでは再現の難しい沿岸域の平均水面のデータを得るために、全国のおよそ150か所の験潮所の観測値を用いました。エポック期間に観測された潮位のほか、各験潮所の観測基準面や固定点、水準点間の測量成果、GNSS測量成果などを用いて、地球楕円体基準の平均水面を算出しました。なお、験潮所の潮位には地盤変動の影響を除去するための補正も施しました。各験潮所の潮位や測量成果は、海岸昇降検知センターのほか、港湾局や気象庁、各都道府県など各験潮所の管理機関から提供いただいた資料を基にしています。地盤変動の補正は国土地理院の電子基準点「電子基準点日々の座標値(F5解)」を用いて行いました。

(4) 衛星海面高度計データ

 外洋域において、地球楕円体からの平均水面の高さの実測値を得るために、衛星から計測された海面高度データを用いました。衛星海面高度計データには、C3S及びCDSの衛星海面高度計プロダクト*3を用いました。

 *1 このデータセットは、気象庁気象研究所が開発した海洋モデル及び海洋データ同化システムを利用して作成されたものです。
 *2 Jean-Michel L, Eric G, Romain B-B, Gilles G, Angélique M, Marie D, Clément B, Mathieu H, Olivier LG, Charly R, Tony C, Charles-Emmanuel T, Florent G, Giovanni R, Mounir B, Yann D and Pierre-Yves LT (2021) The Copernicus Global 1/12° Oceanic and Sea Ice GLORYS12 Reanalysis. Front. Earth Sci. 9:698876. doi: 10.3389/feart.2021.698876
 *3  Copernicus Climate Change Service, Climate Data Store, (2018): Sea level gridded data from satellite observations for the global ocean from 1993 to present. Copernicus Climate Change Service (C3S) Climate Data Store (CDS). DOI: 10.24381/cds.4c328c78



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