津波シミュレーションを行うことにより、避難計画の作成に必要な海岸での波高を予測することができ、また、津波が発生した場合に避難警報を発令するために必要な津波の予想到着時刻を得ることもできる。
津波の伝搬には海底地形が影響する。しかし、インド洋では十分な海底地形データが存在する海域はまばらである。そのため、最新の大洋地形図(GEBCO*)においても、大きな海山等が見過ごされていたり、水深の絶対値に何百メートルもの誤差があったりする可能性がある。外洋域での高密度で精度の高い海底地形データは、津波がいつどこに到達するかを知るために本質的に重要である。
沿岸域の海底地形は、海岸に打ち寄せる津波の波高に決定的な影響を与える。正確で信頼できる津波シミュレーションのためには、50m間隔の格子点、あるいはそれ以上に詳しい海底地形データが有効である。このようなきめ細かい海底地形データを得るためには稠密なマルチビーム海底地形測量が必要であるが、インド洋周辺の沿岸域では十分に実施されていない恐れがある。
結論
・津波伝搬のシミュレーションを向上させるため、インド洋の公海について海底地形調査を国際的に実施するプログラムを立ち上げることが有効である。
・津波シミュレーションの精度と信頼性を確保するため、沿岸各国の沿岸域の詳細な海底地形調査に関する技術移転を伴う国際的な支援プログラムを立ち上げることが有効である。 ・日本国海上保安庁では、海底地形調査や海域での津波シミュレーション等、この分野における経験を示し、共有し、また協力をする用意がある。日本の沿岸の海域津波シミュレーションの例は、ホームページで見ることができる。問い合わせ先:海上保安庁 海洋情報部 国際業務室
インターネット情報:http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAIYO/tsunami-E/index.html