海上保安庁海洋情報部では、相模湾周辺や伊豆諸島周辺等の海域で、GPSにより地殻変動の監視観測を実施しています。
2003年6月に実施した神津島島内のGPSによる観測結果を、過去6回実施した観測結果と比較したものが(図1)と(図2)です。
今回の観測結果では、水平成分の変動量はほぼ三宅島噴火活動以前の変動量かそれ以下となっています。また、ベクトルの向きはほぼ従来の方向へ戻っているように見えます。
2002年7月、2003年6月及び11月に実施した神津島及び銭洲におけるGPS観測結果より求まった水平方向及び上下方向の移動量を1年間の移動速度に換算したものが(図3)(図4)(図5)(図6)です。
- (詳細):
- 図3及び図4は、海上保安庁下里水路観測所を基点とし解析した各点の変動速度ベクトルを1年あたりに換算したベクトルに、同基点のユーラシアプレートに対する相対速度ベクトル (注)で補正したものを示しました。
- 図5及び図6は同基点を基準とした上下成分の変動を示しました。
- (注):
- 海上保安庁下里水路観測所のユーラシアプレートに対する速度ベクトル
- (291°、32mm/yr:Sengoku(1998))
ユーラシアプレート安定域に対する銭洲の水平方向の変動を見ると、いずれも西北西方向へ約4cm/year程度となっており、最近の傾向として落ち着いた変動傾向を示しています。
ベクトルの方向についてはフィリピン海プレートの動きから予測されるものよりも有意に西向きにずれており、伊豆半島南部に見られる変動傾向に近くなっています。(cf.田部井他(1999))
図に見られる上下変動が有意なものであるかどうかは現在のところ判断できません。
参考文献:田部井隆雄 他 : 銭洲岩礁におけるGPS観測(月刊地球/号外No.25,1999)