本調査は新潟県長岡市寺泊中央海水浴場において、離岸流の発生のポイントを把握するために砂浜から海岸線に沿って平行に着色剤を散布し、上空のヘリコプターにより着色剤の流れの状況を撮影する方法で行いました。
図1 調査海域 |
図4 5月20日の状況
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・5月20日 2箇所で離岸流が観測されました。 1.新島崎川付近の離岸流 流速は最大秒速約0.47m(約0.91ノット)程度と考えられます。約100m程沖に出ると流れが弱くなってきています。 沖合いでは秒速約0.07m(約0.14ノット)程度と考えられます。 2.海水浴場中央付近の離岸流 流速は最大秒速0.47m(約0.91ノット)程度と考えられます。約40m程沖に出ると流れが弱くなってきています。 沖合いでは秒速約0.18m(約0.35ノット)程度と考えられます。 共に、海岸線付近では強い流れを観測することができました。 |
図5 5月21日の状況
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・5月21日 最初は付近に散布した着色剤が拡散するのみで目立った流れは確認出来ませんでした。着色剤散布後半に風が吹き始めた影響で沖へ向かう弱い流れが確認できました。この時の流れは秒速0.13m(約0.25ノット)程度と考えられます。 波は前日に比べて穏やかな状態で白波も殆どない条件でしたが、緩やかな沖へ出る流れが見られました。 波が高くなると更に強い流れが発生する可能性もありますので注意が必要です。 |
・5月20日の調査時の様子 (砂浜側から見た状況)
両日共に風が弱く、21日よりも20日の方がやや波が高い 状態(波高0.3m程)でした。この様な比較的穏やかな 条件の時にも、離岸流が発生していますので、十分注意が必要です |
・着色剤散布の様子 海水浴場の砂浜から散布しました。当日は沖から吹く風及び波がありました。離岸流が確認された気象・海象条件です。波と人を比較してご覧下さい。 散布している人の横を、川のように沖へ向かって流れ出る海水の動きが確認出来ると思います。 |
5月20日に確認された離岸流です。比較的近い場所から、沖へ向かう2つの流れが発生しています。
・5月20日
・5月21日
・調査結果
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図2 着色剤散布箇所(5月20日)
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岸から海岸線に沿って平行に着色剤を散布し(図2)、経過を上空のヘリコプターから撮影しました。 当日の日本海は高気圧に覆われ、快晴でした。 北寄りの風(沖合からの風)0.2〜2.6m/sが吹いていました 波は30p程度ありました。 |
イ.新島崎川に沿った離岸流 | |
写真1 |
1.観測開始 陸上及び作業艇から着色剤の散布を開始しました。 ※陸上からの散布は海岸線を歩きながら行うため、作業終了まで時間を要します。(図2) |
写真2 |
2.散布後約30秒 海岸線では北(画像では上部)へ歩きながら着色剤を散布しています。 着色剤は散布開始から約30秒で約14m沖へ流れました。この時の着色剤先端部の流速は秒速0.46m(約0.91ノット)程度と考えられます。 付近の海水とは違う動きでした。 |
写真3 |
3.散布後約1分30秒 着色剤は次の約1分で約16m流れました。この時の着色剤先端部の流速は秒速0.27m(約0.52ノット)程度と考えられます。 沖へ進んでいる様子が確認できます。 |
写真4 |
4.散布後約2分30秒 着色剤は次の約1分で約24m沖へ流れました。この時の着色剤先端部の流速は秒速0.40m(約0.78ノット)程度と考えられます。 さらに沖へ進んでいる様子が確認できます。 |
写真5 |
5.散布後約3分30秒 着色剤は次の約1分で約24m沖へ流れました。この時の着色剤先端部の流速は秒速0.40m(約0.78ノット)程度と考えられます。 |
写真6 |
6.散布後約4分28秒 着色剤は次の約58秒で約12m沖へ流れました。この時の着色剤先端部の流速は秒速0.21m(約0.40ノット)程度と考えられます。 |
写真7 |
7.散布後約5分 着色剤は次の約32秒で約8m沖へ流れました。この時の着色剤先端部の流速は秒速0.25m(約0.49ノット)程度と考えられます。 |
写真8 |
8.散布後約5分30秒 着色剤は次の約30秒で約2m沖へ流れました。この時の着色剤先端部の流速は秒速0.07m(約0.13ノット)程度と考えられます。 |
写真9 |
9.散布後約7分35秒 着色剤は次の約2分5秒で約5m沖へ流れました。この時の着色剤先端部の流速は秒速0.04m(約0.08ノット)程度と考えられます。 着色剤が薄まったため発生箇所に着色剤を追加しました。 |
写真10 |
10.散布後約14分11秒 着色剤は次の約6分36秒で約29m沖へ流れました。この時の着色剤先端部の流速は秒速0.07m(約0.14ノット)程度と考えられます。 沖へ達したことで流れが弱まったものと思われます。 |
ロ.海水浴場中央部での離岸流 |
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写真11 |
11.観測開始 前述の箇所から約100m程南側の場所でも沖へ向かう流れが確認されたので、着色剤を使用して流れの確認を行いました。(赤丸の箇所です) |
写真12 |
12.散布後30秒 着色剤は散布開始から約30秒程で約14m沖へ流れました。この時の着色剤先端部の流速は秒速0.47m(約0.91ノット)程度と考えられます。 周囲の海流と違う様子でした。 |
写真13 |
13.散布後約1分 着色剤は次の約30秒で約6m沖へ流れました。この時の着色剤先端部の流速は秒速0.20m(約0.39ノット)程度と考えられます。 筋状になっていることが確認出来ます。 |
写真14 |
14.散布後約1分30秒 着色剤は次の約30秒程で約5m沖へ流れました。この時の着色剤先端部の流速は秒速0.17m(約0.33ノット)程度と考えられます。 はっきりした筋状の流れが更に沖へ達する様子が確認できます。 |
写真15 |
15.散布後約2分30秒 着色剤は次の約1分程で約15m沖へ流れました。この時の着色剤先端部の流速は秒速0.25m(約0.49ノット)程度と考えられます。 先端が鋭くなってきました。 |
写真16 |
16.散布後約4分30秒 着色剤は次の約2分程で約7m沖へ流れました。この時の着色剤先端部の流速は秒速0.06m(約0.11ノット)程度と考えられます。 更に沖へ向かう様子が確認出来ます。 |
写真17 |
17.散布後約6分 着色剤は次の約1分30秒程で約16m沖へ流れました。この時の着色剤先端部の流速は秒速0.18m(約0.35ノット)程度と考えられます。 付近の着色剤も集まる様子が確認出来ます。 この海域では2本の離岸流が確認出来ました。 |
新島崎川に沿った離岸流の動画(4倍速表示)
ヘリコプター撮影の動画 wmv形式 再生時間約4分30秒
動画の再生にはWindowsMediaPlayer等再生ソフトが必要です。
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図3 着色剤散布箇所(5月21日)
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岸から海岸線に沿って着色剤を散布し、上空のヘリコプターから経過を撮影しました。(図3) 当日の日本海は高気圧に覆われ、快晴でした。 北寄りの風(沖合からの風)0.8〜2.0m/sが吹いていました。 波は場所によって10p程度ありました。 |
イ.寺泊中央海水浴場 | |
写真18 |
1.着色剤散布開始 着色剤の散布は海岸線を歩きながら行いました。着色剤散布直後は穏やかな気象条件でした。 写真中央に人影が確認出来ると思います。(写真18の赤枠) |
写真19 |
2.散布後約1分 着色剤は散布時の風は弱めでした。 沖からの波は少し残っていました。 散布した着色剤の動きは見られません。(写真19) |
写真20 |
3.散布後約2分30秒 着色剤の散布後も沖へ流れる様子はなく岸に沿って漂うばかりです。(写真20) |
写真21 |
4.散布後約3分30秒 着色剤の散布約3分30秒経過後も、着色剤は沖へ流れる様子はなく岸に沿って漂っています。(写真21) |
写真22 |
5.散布後約5分30秒 着色剤の散布約5分30秒経過後も、変化は見られません。 離岸流の流れと違うことがわかります。(写真22) |
写真23 |
6.散布後約6分30秒 着色剤の散布約6分30秒経過後も、変化は見られません。(写真23) |
写真24 |
7.散布後約8分30秒
着色剤の散布約8分30秒経過後、若干沖へ向かう流れが見られました。着色剤散布直後は穏やかでしたが徐々に沖合からの風が強くなりました。 気象条件の変化に伴いゆるやかですが着色剤は拡散しながら沖へ流出しているようです。(写真24) |
写真25 |
8.散布後約13分 着色剤の散布約13分経過後の様子です、拡散をしながらゆっくりと沖へ向かう流れが確認できました。(写真25) 気象条件により流れが変化する可能性もあります。 この時の着色剤の流速は約100mを約13分で流れたので、秒速0.13m(約0.25ノット)程度と考えられます。 |
寺泊中央海水浴場の動画(4倍速表示)
ヘリコプター撮影の動画 wmv形式 再生時間約7分20秒
動画の再生にはWindowsMediaPlayer等再生ソフトが必要です。
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同じ海域(寺泊中央海水浴場)にて6月に実施した離岸流調査結果はこちらをご覧下さい。
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「助けてサイン」とは→「片手を大きく振る」ことです。
※また、監視員やライフセーバーがいる海水浴場を選ぶことも大切です。