石川県河北郡内灘町権現森海水浴場付近の漂流実験結果(平成22年5月25日)


離岸流の発生場所に、海上保安庁潜水士を入れて、危険性等について調査を行いました。



はじめに…

5月25日、26日に石川県河北郡内灘町権現森海水浴場において、離岸流調査を実施しました。
5月25日は、当庁潜水士2名による漂流実験を行いました。
漂流実験中は、離岸流は確認されませんでしたしが、沿岸に沿った強い流れ(並岸流)が観測されました。
そのため、沿岸に沿った流れ(並岸流)に潜水士が入り、流れによる危険性について、調査を行いました。
当時の状況は、流れの速さは、約1.4m/sで、波高も約1.5mと波の高い状況でした。

新潟県新潟市島見浜海水浴場においても、同様の漂流実験を行いました。
その時は、突堤に沿って発生した離岸流に入り、流れの速さは、約2.1m/min、波高は約0.3mと穏やかな状況で実験を行いました。
新潟県新潟市島見浜海水浴場の漂流実験結果は、こちら です。


海上模様

流れの危険性について(…潜水士2名の体験談…)


※潜水士2名は、時間及び場所を変えて、流れに入りました。
Q1 並岸流に流された感想は?
潜水士A 景色の変化より、流されているのがはっきりと分かった。
今回の速さで流されれば、流されていることにすぐ気づく。
流される方向が、沖方向であったら、非常に不安である。
潜水士B 早い流れに乗っていることを感じた。
強い流れで、抵抗もできず流れに体をもって行かれた。


Q2 並岸流に逆らって泳いだ感想は?
潜水士A フィン(足ひれ)を付けて流れに逆らって泳いだが、全く進まず、流れに打ち勝つことはできなかった。
潜水士B 逆らって泳ぐことは不可能であった。


Q3 並岸流から抜け出すことを試みてみて…
潜水士A うねりが大きく並岸流から脱出することはできなかった。
潜水士B 並岸流を抜け出すため、泳いだが、並岸流に流され、思った方向に泳げなかった。
しかし、しばらく泳いでいると、並岸流の中心から抜け出したらしく流されるのが遅くなった。


Q4 海水浴等で離岸流にあった体験談…
潜水士A 離岸流と直角に泳ぎ、冷静になって行動したため、不安を感じることはなかった。
潜水士B 気がついたら流されていたので、焦ったが、離岸流の流れが、
ほとんど無くなるところまで流された後、泳いで岸に戻った。


漂流実験の様子(赤線矢印の先に潜水士)


まとめ

流された場合、はっきりと流されていることが分かる場合と、気づかない場合があります。
離岸流を知っていても、流されれば、不安になったり、焦ったりします。
流された時、不安になった時こそ、まずは、冷静になって行動しましょう。

強い離岸流に流されると、日々、訓練を行っている者でも、流れに打ち勝つことができません。
泳ぐ方向は、流れを横切る方向に泳ぎ、流れから抜け出すようにしましよう。

しかし、今回のように、大荒れの状態では、流れから抜け出すことすら困難となります。
そのため、遊泳禁止場所はもちろん、海が荒れている時や気象・海象が悪くなることが予想されるときは、海に入ることはやめましょう。

そのほか

 ※監視員やライフセーバーがいる海水浴場を選ぶことも大切です。

・気象・海象の状況によっては、異なる流向や、強い流れが生じることがあります。
 また、発生場所も変化することがあります。
・そのほかの海水浴場でもこのような離岸流等の強い流れが発生することがあります。
 
 「離岸流」って何だろう?
 
 海で安全に楽しく遊ぶために、こんなことに注意しましょう!
 
 

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