伊豆諸島海域の最近の地殻変動


項目1銭洲でフィリピン海プレートの運動方向の変化を検出

 海上保安庁では、銭洲においてGPSを用いた地殻変動観測を行っています。平成15年6月〜17年8月に実施した5回の観測結果をまとめたところ、平成16年後半を境に、プレート運動に伴う定常的な動きの向きがやや北寄りに変化したことがわかりました。

銭洲は、伊豆諸島神津島の南西約40kmに位置する、人の住まない小さな岩礁で、発生が懸念されている東海地震想定震源域の海側、沈み込む海洋プレート(フィリピン海プレート)上にあります。 東海地震を起こす原因というべきフィリピン海プレートの動きを知ることは、その発生予測のために大変重要ですが、銭洲は、付近に島もなく、プレートの動きを境界付近で監視できる稀少な位置にあることから、多くの研究者が注目しています。 海上保安庁の実施した5回の観測(平成15年6月、11月、平成16年7月、11月、平成17年8月)結果によると、銭洲は、平成16年7月まではほぼ西北西へ移動していましたが、同年11月以降は北西へとその方向が変化しています※。 今回求められたプレート運動の変化は、今後、この海域での地震活動の成果等も加えた総合的な解析を行い、東海地震への影響を明らかにしていくための貴重な資料となることが期待されます。

※:平成16年7月から11月までは、9月に発生した紀伊半島南東沖地震(M7.4, M6.9)の影響による特殊な動きをしているため、この間どの時点で動きの方向が変化したのかは正確には判断できません。)

【補足説明】 この変化が起こったと考えられる平成16年後半には、銭洲の南西に 約200km離れたプレート境界(南海トラフ)の近傍で、紀伊半島南 東沖地震(9月5日;M7.4, M6.9)が発生しており、このときには、遠 く伊豆諸島でも地震に伴う地殻変動が観測されています。銭洲の観測結 果にも、この地震に伴う地殻変動の影響が現れていますが、この地震の 発生とプレート運動方向の変化に関係がある可能性もあります。

銭洲測点図

銭洲変動ベクトル

銭洲観測風景

2000年の観測結果

2001年の観測結果

2002年の観測結果

2003年の観測結果

2004年の観測結果


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