海上保安庁総合職職員採用情報

 


H17入庁(8年目)
海洋調査課 大陸棚調査室*

理学部(専攻:地球化学)
採用区分:理工IV


キャリアパスと業務内容について
 私が入庁時に初めて配属になった部署は、現在の配属と同じ海洋調査課大陸棚調査室でした。 当時は200海里を超える大陸棚を国連に申請するための調査を進めており、 私も大陸棚調査室の一員として、実際に測量船に乗って調査に積極的に関わるとともに、 取得した調査資料の解析作業等を行っておりました。
 入庁5年目となる平成22年には、国土交通省総合政策局海洋政策課に出向し、 アジア太平洋海域における海洋環境保護のための国際的な活動の窓口を担当しておりました。 今年4月に2年間の出向が終了し、再び大陸棚調査室に配属になり、入庁時に関係していたデータ解析業務に加え、 これまでの科学的な知見を活かしつつ、新たな調査機器を導入・活用するための中期的戦略を立案する仕事も担当しています。

海洋情報部に入庁しようと思ったきっかけ
 私は大学時代に地球化学を専攻しており、温泉水の水質分析や、火山ガスの化学分析などを行っていました。 そのため研究を通して防災に関心を持ち、防災に関われる仕事に就きたいと思い、海上保安庁を志望しました。 通常、入庁後に大学の研究室と同じような業務に就くことは稀で、 私の場合も、水質分析のような研究と直結するような業務には関わってはいませんが、 大学時代の経験は、研究室での研究内容のみならず、大学の専門科目・教養科目も含めて、思考の際の基礎の知識として役に立っています。

入庁前と入庁後での海洋情報部の印象の違い
 私は入庁前に抱いていた海洋情報部の印象は、大学の研究室にかなり近いものを想定していました。 実際、私が海洋情報部で携わってきた業務は、技術的・科学的な業務が多かったですが、 それでも大学の研究室の雰囲気とはだいぶ異なっていると思います。 大学の研究室との大きな違いとして、大学よりも国民との距離感が近いということが挙げられると思います。 国家公務員として仕事をする以上、国民にその仕事の意味・成果を伝える必要があり、 仕事の結果として得られた成果は、大学の研究者や専門家に伝えるだけでなく、 老若男女を含めた国民全般に「伝える」ことが求められていると感じています。

仕事で苦労したこと
 2年前の国交省への出向の際には、それまでの技術的な業務とは全く異なる行政的な仕事を担当し、当初は非常に戸惑いました。 海洋政策課での業務は、国際会議に向けて会議文書に目を通し、要点・問題点を把握した上で、 実際の担当者に繋ぐという、まさに人と人とをつなぐ役割を担当しておりました。そのような仕事では正確性とともにスピード感が求められます。 また、海洋政策課が属する総合政策局は国土交通省の筆頭局であり、国交省幹部との距離感も近く、幹部に説明する機会も多々あります。
 海洋情報部での I 種採用職員は技術的な業務から始まることが多いですが、 年次が上がるにつれて、行政的な仕事が求められる割合が大きくなってきます。 そのような中で、海洋政策課への2年間の出向は、当初は非常に苦労を伴いましたが、 国の法律や予算が作られていく仕組みに携わることができ、非常に良い経験ができました。

現在の業務に対する意気込み
 現在の大陸棚調査室の業務は、2回目の配属ということもあり、担当している業務をこなすことはもちろんのこと、 当室に配属された後輩の指導を含め、自分の担う役割の変化を実感しています。 また、現在大陸棚調査室では、新しい観測機器として自律型潜水調査機器(AUV)を導入することになっております。 新たな装置の導入時には、得てして問題が発生することが多いですが、装置の効果的な運用を実現するべく、現在の業務に取り組んでいます。

メッセージ
 国家公務員の総合職及び I 種採用の職員は、政策の企画立案等の高度の知識を必要とする場での活躍を期待されています。 加えて、海洋情報部では扱っている業務が特に専門的な内容を含むことが多いです。 もちろん、入庁後にも学ぶ時間は十分にありますが、大学のように常に指導してくれる人がいる訳ではなく、 自らが率先して学ぶことが求められるため、求められるハードルは非常に高いですが、成し遂げた時のやりがいは非常に大きいです。 自分の業務を与えられた範囲に狭めることなく、常に新しいことに挑戦する開拓者精神に溢れる皆さんを私たちは歓迎しています。


※本記事はH24年度時点のものです。