海上保安庁総合職職員採用情報

海が見えなくても


H20入庁(11年目)
海上保安試験研究センター 電子情報分析課

専攻:機械工学
採用区分:理工Ⅰ

「HDD分析作業」


 国家公務員総合職を目指している皆さん、私のメッセージをご覧いただきましてありがとうございます。 私は10年前に国家公務員Ⅰ種(現在の国家公務員総合職)職員として海上保安庁交通部に採用されました。 この拙いメッセージが皆さんの将来を思い描くに当たって参考になれば幸いです。

◆いまのしごと
 私は東京都立川市にある海上保安試験研究センターで勤務しています。 海上保安庁の組織ですが、海から遠く離れています。 以前にも、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に出向し、茨城県つくば市で勤務していたこともあり、内陸ばかり巡るのは海上保安官としては珍しいのかもしれません。
 当センターでは、海上保安庁が実施する業務に新技術を導入するための研究開発や試験を行うほか、海上で発生した事件の捜査に必要となる鑑定分析を実施しています。 その中で、私は各種電子機器のハード・ソフトに関する研究開発や鑑定分析を担当しています。
 分析する電子機器は、船舶に搭載されたレーダーやGPSプロッターなどの航海計器のほか、携帯電話・スマートフォンが対象になります。 陸上では、スマートフォンのGPS機能を使った地図アプリで自分の位置を調べることは一般的ですが、最近では、海上においても船の位置を調べることができるようなアプリが登場しています。 また、そのようなアプリの中には、船同士でお互いの位置を共有して、あたかもレーダーの如く航海計器に準じた使い方ができるようなものもあります。
 また、携帯電話・スマートフォンに残ったGPSログは、事故が起きたときに何が起きたのかを把握する重要な手がかりにもなります。 しかし、海上で大きな事故が起きて船が沈没してしまうと、航海計器はもちろん、携帯電話・スマートフォンも電源が入ったまま一緒に海中に沈んでしまいます。 海水に沈んだ電子機器はそのままでは動きません。 そこで、海没した電子機器を復旧させ、データを取得するための研究や鑑定を進めています。
 このほかにも、静止画・動画・音声を分析して、そこで誰が何をしているのか知るための技術開発や分析を担当しています。 出身専攻は車両機械ですので専門知識に直結する分野ではありませんが、自身の知見を生かし、業務に取り組めています。

◆いままでのしごと
 私は入庁してから、主に国際系と技術系の仕事を担当してきました。 前述のとおり、途中3年間はJAXAに出向しました。 JAXAでは、毎月欧州宇宙機関(ESA)とのテレビ会議で技術仕様を協議して、日欧共同開発中の地球観測衛星に係る地上系情報処理システムの設計等をしていました。
 入庁に当たっては、英語が得意ではなかったため、国内が主戦場となる官庁を選んだつもりだったのですが、業務で英語を使用する機会も多く、英語は業務上不可欠なツールになっています。 ツールという面では、英語のほか数学物理やIT技術など理系の知識も必要されています。 技術系総合職職員には理系の知識を背景に施策展開を行うことが期待されていると感じています。

◆さいごに
 技術系総合職職員として採用される方であれば、数学、物理、化学、情報等、幅広く理系の知識を取得した上で、更に何か専門分野を持っていて、その分野での特別な課題に取り組んだ経験を持っているかと思います。
 海上保安庁交通部で、皆さんの経験を生かしてみませんか。


※本記事はH30年度時点のものです。