日出没にまつわるはなし

日出没にまつわる質問が多いのでまとめてみました。
  1. 日出没が一番早い(遅い)のはいつ?
  2. 日出と日没で時刻の変化のスピードが違うのは?
  3. 東京と札幌、先に日が昇るのはどっち?
  4. 「春分の日」昼夜の長さは、同じではありません
  5. 参考になる図書は?

日出没が一番早い(遅い)のはいつ?

日照時間(太陽の出ている時間)は夏至の日に最も長く、冬至の日に最も短 くなります。 日照時間
ところが、日出没の時刻となると夏至(冬至)の日に日出時が一番早く(遅く)、 日没時が一番遅く(早く)なるとはいえません。
それはなぜなのでしょうか?

私たちの使っている日本時は天文学上の言葉では平均太陽時と言われるもので、 実際の太陽の動きから得られる時刻(真太陽時)を平均化したものです。
これは真の太陽を基準にした時系の間隔が一様でないという重要な欠点を克服 するためのものです。
[注釈]
☆真太陽時が一様ではないわけ
太陽の動きが一様でないのは地球の公転運動が楕円軌道である事(ケプラーの 法則により公転の速度は一定になりません。)と、地球の自転軸が公転面に対 して約23度傾いている(このため仮に黄経が一様に変化しても赤経は一様に は変化しません)事によります。

☆日常用いている時刻
日本時は厳密には国際原子時(TAI)にもとづく協定世界時(UTC)により定められ ますが、平均太陽時とほぼ同じものと考えて構いません。
両者の差は均時差(=真太陽時−平均太陽時)とよばれ下図 のように変動します。 (通日とは1月1日からの経過日数の事です。)
均時差
ところで日出没は下図のように太陽が地平線に顔を出す点A、顔を隠す点Bの 時刻になります。
すると日出の真太陽時は12h - hr、 日没の真太陽時 は12h + hsになる事が分かります。

[注釈]
☆hr, hsの大きさ
太陽は地球の自転によって1日(24時間)でほぼ一回り(360°)するので、太陽が ある角度だけ運動するには角度/360*24時間かかります。 (例えば15°なら1時間かかります。)
つまり角度が大きいほどそれに比例して時間が長くなります。
したがって真太陽時で表した日出は、角度hrが大きくなる夏至の 日に一番早く、小さくなる冬至の日に一番遅くなります。

日出没時
これを均時差を加えて平均太陽時で表すと、日出
日出時
日没は
日没時
となります。

よって、
日出が一番早い(遅い)という事はhr+均時差が極大(極小)となる時 であり、
日没が一番遅い(早い)という事はhs-均時差が極大(極小)となる時 である
事がわかります。

なお、hr,hs
hr_hs
なる式から得られる量です。
aは太陽の高度で日出没の場合は定数、φは地点の緯度なので同一地 点では定数。δは太陽の赤緯で夏至には約23度26分、冬至には約−23度 26分、春分秋分では0度になります。

これを用いてhr、hr+均時差、および hs、hs-均時差をグラフ化すると以下のようになりま す。
(ただし、北緯35度東経135度、1999年で計算しています)
夏至
冬至
このグラフからわかるように、日出没の時刻の早い(遅い)日は夏至や冬至の日 と少しずれた日になります。

日出と日没で時刻の変化のスピードが違うのは?

これも均時差が原因でおこる現象です。

先に示したように、 日出は
日出時
日没は
日没時
となります。

ここで、例として冬至の付近の状況を考えます。
hr, hsは冬至で最小になり、1月の間は増加していき ます。一方均時差は1月の間は減少していきます。

このため日出時刻は両者の効果が打ち消し合って変化が小さくなり1ヶ月で10 分程度、日没時刻は重なり合って変化が大きくなり1ヶ月で30分程度変化する 事になるわけです。

東京と札幌、先に日が昇るのはどっち?

太陽は東から昇りますので、東に行けばいくほど日が昇るのは早くなるはずで す。
札幌(東経 141°21′)は東京(東経 139°44′)よりも東にありますので、札幌 の方が日出は早いと思われます。しかし、東京と札幌の日出時刻を比べると
季節東京札幌判定
夏至 04:2503:55 札幌が早い
冬至 06:4707:02 東京が早い
春分・秋分05:4405:37 札幌が少し早い
季節によって入れ替わっています。これはなぜでしょうか?

地球は太陽の周りを約23度傾いた方向に自転しながら運動しています。
地球の自転軸の傾き

この図で、太陽に向いている面と向いていない面の境目が、その時刻に日出 (日没)のおきている地点になります。

(1) 夏至のころの日出の様子
同じ経度でも緯度の高い地域では既に日が昇っていますが、緯度の低い 地域ではまだ日が昇っておりません。 このように夏至付近では北極側が太陽の方を向くので緯度が高ければ高 いほど、日出は早くなり、日没は遅くなる事がわかります。
#特に、北極付近では日が沈みません。(白夜と呼びます。)

同じ時刻に日出になる地点を結ぶと右図のようになります。
夏至のころの日出の様子 夏至のころの日出時刻
(2) 冬至のころの日出の様子
逆に冬至のころは、北極側は太陽と反対の方を向くので緯度が高いほど 日出は遅くなり、日没は早くなります。
冬至のころの日出の様子 冬至のころの日出時刻
(3) 春分・秋分のころの日出の様子
春分・秋分のころは、北極側は横を向くのでほぼ経度だけで決まります。
春分・秋分のころの日出の様子 春分・秋分のころの日出時刻


このように、季節によって日出の順序が入れ替わることになるわけです。

参考になる図書は?

日出没に関して参考になる図書を紹介します。
日出没時刻のさまざまな計算方法が載っているので参考にしてください。
題名著者名出版社価格
日の出・日の入りの計算長沢 工 地人書館1500円
新こよみ便利帳暦計算研究会 恒星社厚生閣2800円

rekisan@jodc.go.jp
Last modified: Tue Feb 04 09:57:46 JST 2003