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海の研究

海洋情報部では,我が国の産業や国民生活を支える海上交通の安全確保, 海洋に起因する災害への対応,海洋環境の保全,海洋権益の保全, さらには海洋情報の円滑な流通を図るため,最先端の調査・研究を行っています.

研究成果の公表

海洋情報部研究報告

研究成果は海上保安庁研究成果報告書,海洋情報部研究報告により公表されています.

最新号

研究成果発表会

海洋情報部では,研究成果を分かりやすくご紹介するため,毎年「研究成果発表会」を開催しています.


平成27年度 海洋情報部研究成果発表会
平成28年3月7日(月)に平成27年度 海洋情報部研究成果発表会を開催しました.
「空間情報技術と高密度海洋データ」をメインテーマとして,小口高教授(東京大学空間情報科学研究センター長)から, 地形研究・環境研究の基礎としての測量と地形データに関する基調講演を頂いたのち, 当庁が実施した最新の調査・研究成果を紹介しています.

研究成果発表会の予稿集
過去の研究成果発表会の予稿集はこちらに掲載しています.
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最近の主な研究

衛星画像を用いた浅海水深情報の把握

原理図

光学センサを搭載した人工衛星の画像を用いて,浅い海域の水深を推定する技術と海洋情報業務への適用について研究を行っています. これは太陽光が水中で減衰する性質を用いて水深を推定する方法で,衛星画像推定水深(SDB:Satellite Derived Bathymetry)と呼ばれています. 測量船が入れないごく浅い海域において特に効率よく水深を把握することができ,短時間で調査が済むことが特徴です.


解析例の図

2013年5月18日に光学衛星WorldView-2が撮影した波照間島周辺の画像を利用して,水深の推定を行った例です. 水色(Coastal Blue),青,緑,黄,赤,深い赤(Red Edge)の6色の波長帯の画像を用いて解析をしたもので, 水深0~24 mの範囲で水深が求められています. 水平解像度は1.84 mであり,このように衛星画像の範囲で面的に広く水深が把握できます. マルチビーム音響測深や航空レーザー測深の精度には及びませんが,迅速に低コストで海底地形が把握できることから, 海図に表現された海底地形の有効性のモニタリングや災害時の障害物調査,津波予測のための海底地形データの作成等に活用が期待されます.


参考文献:

本研究は(公財)日本財団の助成により(一財)日本水路協会が実施する「衛星画像を用いた浅海水深情報の把握の調査研究」の一環として, 海洋情報部と(一財)日本水路協会の共同研究協定に基づき実施しています.

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九州南方沖の古島弧:九州・パラオ海嶺の地震波速度構造

九州・パラオ海嶺における地震波速度構造探査測線の位置
図1.九州南東部からパラオまで延びる長大な海底山脈:九州・パラオ海嶺における地震波速度構造探査測線の位置.

九州・パラオ海嶺は,フィリピン海プレートの中央部に南北におよそ2,600 kmにわたって延びる地形の高まりです. この高まりは,古伊豆・小笠原・マリアナ島弧が割れて四国海盆とパレスベラ海盆が 背弧拡大によって形成された時の古島弧の西側部分であると考えられています. 九州・パラオ海嶺の地殻構造が,現在の伊豆・小笠原・マリアナ島弧の構造と比較すると, どのように異なるのかを調べるために人工地震波を使った速度構造探査を行いました.


九州・パラオ海嶺のP波(縦波)速度構造断面図
図2.九州・パラオ海嶺のP波(縦波)速度構造断面図.

それぞれの測線で得られた速度構造断面図から以下の特徴が読み取れます.

  • 九州・パラオ海嶺下の速度構造は,海嶺軸に沿って北から南へと大きく変化しますが, 共通して,海嶺の東側の四国海盆・パレスベラ海盆や西側の西フィリピン海盆の海洋地殻よりも, 海嶺の高まりの下では厚い島弧地殻を持ちます.この厚い地殻の速度構成は, 古伊豆・小笠原・マリアナ島弧とよく似ており,もともと一つの島弧であったことを裏付けます.
  • 九州・パラオ海嶺の東端部は,海洋地殻よりもさらに薄い地殻と高速の最上部マントル速度によって特徴づけられます. これは,九州・パラオ海嶺が古伊豆・小笠原・マリアナ島弧から引き伸ばされて分離した時の構造を表しているのではないかと推定しています.
  • 九州・パラオ海嶺の西端部は,測線によって様々な特徴を示しますが, これは海嶺の西側領域がぞれぞれが異なる成因で形成されたことを反映していると考えています.

参考文献:Nishizawa et al. Earth, Planets and Space 2016, 68:30

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フィリピン海リソスフェアの理解に向けての窓:ゴジラメガムリオン

フィリピン海

1983年から2008年に掛けて実施された日本政府の大陸棚画定調査によって,フィリピン海の地質学的・地球物理学的な詳しい理解が進展しました. このうち,大陸棚画定調査で発見された顕著な地形として,パレスベラ海盆(Parece Vela Basin)に発達するゴジラメガムリオン (Godzilla Megamullion)があります(Ohara et al., 2001; Ohara, 2015).
ゴジラメガムリオンは,世界最大の海洋コアコンプレックスであると考えられています.海洋コアコンプレックスとは, 海底拡大系において低角の正断層が発達し,その断層運動に伴って海底面に下部地殻や上部マントル物質が露出している ドーム状の地形的高まりの構造のことで,海洋リソスフェアの組成・構造の理解を助ける優れた場となっています(Escartin & Canales, 2011).

ゴジラメガムリオン

パレスベラ海盆の拡大方向は,北東-南西方向であり,海盆の海底の多くは,海底拡大で形作られた, 海底拡大方向に直交する地形的ファブリックで特徴づけられています.しかし,ゴジラメガムリオンでは, 海底拡大方向に平行する地形的ファブリックで特徴づけられており,特異な存在となっています (Ohara et al., 2001, 2011; Spencer & Ohara, 2014).
ゴジラメガムリオンは125 km × 55 kmという東京都面積の約3倍という広さを有しています(点線の範囲). そのほぼ全面に下部地殻物質や上部マントル物質が露出していることが明らかとなり, その物質科学的研究はフィリピン海リソスフェアの組成・構造に関する重要な手がかりを与えています (Harigane et al., 2008, 2010, 2011a, b; Loocke et al., 2013; Ohara et al., 2003; Sanfilippo et al., 2013; Michibayashi et al., 2014; Tani et al., 2011).
今後は,ゴジラメガムリオンがこれほどまでに巨大に発達した要因を明らかにするための研究を実施していきます.

参考文献:

    Escartin, J. & Canales, J.P. (2011) EOS Transactions, AGU, 92, doi:10.1029/2011EO040003.
    Harigane, Y., et al. (2008) Tectonophysics, 457, 183-196.
    Harigane, Y. et al. (2010) Island Arc, 19, 718-730.
    Harigane, Y. et al. (2011a) Lithos, 124, 185-199.
    Harigane, Y. et al. (2011b) Island Arc, 20, 174-187.
    Loocke, M. et al. (2013) Lithos, 182-183, 1-10.
    Ohara, Y. et al. (2001) Marine Geophysical Researches, 22, 47-61.
    Ohara, Y. et al. (2003) Geochemistry, Geophysics, Geosystems, 4 (7), 8611, 10.1029/2002GC000469.
    Ohara, Y., et al. (2011) Modern Approaches in Solid Earth Sciences, Springer, 8, doi: 10.1007/978-90-481-8885-7_7.
    Ohara, Y. (2015) Island Arc, in press.
    Sanfilippo, A. et al. (2013) Journal of Petrology, 54, 861-885.
    Michibayashi, K., et al. (2014) Earth Planetary Science Letters, 408, 16-23.
    Spencer, J.E. & Ohara, Y. (2014) Tectonics, 33, 1028-1038.
    Tani, K., (2011) Geology, 39, 47-50.

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過去の研究

過去の研究はこちらに掲載しています.

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研究の評価・不正行為への対応

研究の評価

水路業務研究費による研究については,当庁職員以外の有識者による海洋情報部研究評価委員会を設置し, 公正かつ透明性の高い評価を実施しており, 評価結果は公開されています.

不正行為への対応

海洋情報部における,研究活動上の不正行為への対応について.

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